「フルサト」by ハイフェッツ
第70章 大好きなヴァイオリニスト
(2007年12月6日)
去る11月27日(火)の夕方、私は会社から東京上野の文化会館への道を急いでいました。19時よりヴァイオリンのリサイタルが始まるからです。ヴァイオリニストは私の大のお気に入りで、ここでは親しみを込めて「絵里子さん」と紹介させていただきます。
彼女絵里子さんは桐朋学園大学をご卒業後、ベルギーへ留学されました。ベルギー留学中に一時帰国をして演奏家デビューを果たされました。以来、ソロ活動を中心にオーケストラ・室内楽と活躍の場を広げられて、ついにこの日は「デビュー10周年記念リサイタル」。
絵里子さんの演奏会を聴くのは今回で何と26回目。夏川さんのコンサートは11月23日の西宮を含めて12回ですから、私のお気に入り度がお分かりでしょう!
文化会館小ホールのシートに腰掛けると、私の大好きな角度から舞台を見ることが出来ました。真中よりも舞台に向かって右側がいい。絵里子さんの構えるヴァイオリンと顔の角度を熟知しているので。決して音響的な観点ではないのですが。シートの位置に満足したところで、今夜の聴衆を見渡し見知った顔を見つけて会釈したりお話したり。当然ですが、りみ友さんはいらっしゃいませんね。
開演!
黒いシックな衣裳をまとって颯爽と登場。この登場のときの優美さはいつ見てもドキドキします。あでやかにして清楚な出で立ちで。大人の女性としての落ち着きとあどけなさが同居する微笑の中にもどこか孤独な戦場へ向かうかのようなきりりとした表情が印象的。そう、ヴァイオリニストの目です。この目を感じたときは、いつも素晴らしいパフォーマンスを見せてくださいます。そしてこの日は留学先であったベルギー出身の作曲家の楽曲で構成されていました。
初めの音は何だろう・・・そう心待ちにしているだけでも感動しますね。そして蝶の舞のように軽やかな音色。目を閉じて聴いていると蝶が何匹も舞い始めます。多彩な音色とリズム。酔って聴いているうちにあっという間に1曲目が終了。不思議な世界を見せてくれます。
知っている曲も知らない曲も、楽しい。作曲家の作品を味わう過程でいつしか料理人の存在に気づき魅せられていく・・・。目を開ければ、まさしくミューズがそこに・・・。
クラシックの演奏会なので、前半(第一部)と後半(第二部)の間に休憩があります。この日は20分間でした。ロビーでは本日の演奏について早くも感動のあまり興奮して話していらっしゃる方もお見受けしました。私は絵里子さんのお母上と少し談笑。NHKのカメラ三台で撮影しているので、おそらく後日にBSで放送されるのだと思いまね、放送が楽しみですねと話していると時間に。
第二部はこの日メインの曲で、演奏時間約40分を一気に弾き切りました。私は実演でこの曲を聴くのは初めてでした。美しい音色と様式美を崩さない節度ある演奏と現代的な歌心が絵里子さんの持ち味なのですが、曲のある部分に差し掛かるとそこで、「この世で一番美しい音!絵里子さんに出せる最上の音楽」というようにとても美しい音楽をたっぷりと舞うのです。そのフレーズに達するまでの演奏が全てそのフレーズのためにある音楽だ、ということをとてもエレガントな方法で示してくれたのです。胸にしっかりと焼きつきました・・・。
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絵里子さんはクラシック演奏家の中で屈指のブロガーとしても有名です。今回の10周年記念演奏会に向けての様々な思いや練習の様子などをそのブログで伝えてくださいます。もちろん記念演奏会とは関係なく数多くのお仕事をこなされています。地方での演奏では、地元のスタッフへの感謝の気持ちを、郷土料理の写真等も交えながら素直に書かれていて、こういうところも大好きです。また環境問題にも積極的に取り組んだり、愛知万博でのコラボ演奏に招聘されてクラシックの啓蒙に努めるといった地道な活動。21世紀型のクラシック演奏家とファンの交流なのかなと感じています。
絵里子さんのファンクラブ発足時に入会して2年くらい。会員番号は11番。
絵里子さんに「夏川りみさんをご存知ですか?涙そうそうという名曲をヒットさせた沖縄県石垣島出身のかわいい女性シンガーですよ」と半年ほど前に訊ねたことがあります。「勿論知ってますよ。でも今、お休みされているのですよね」とのお返事。なかなか情報通でいらっしゃる。実は絵里子さんもビクター所属。ビクターつながりで夏川さんと共演される日を楽しみに待ってますね、と申しておきました。
いつの日かコラボが実現することを夢見て!