「フルサト」by ハイフェッツ
第23章 ルパン三世~里美王国より愛をこめて
プロローグ
俺の名はリュパン三世。 かの名高き怪盗ルパンの孫だ。
世界中の警察が俺に血眼…ところがこれが捕まらないんだなァ…
ま…自分で言うのは何だけどォ…狙った獲物は必ず奪う!
神出鬼没の大泥棒!
それがこの俺、ルパン三世だ!
四次元大介、俺の相棒。 早撃ち0コンマ3秒のプロフェッショナル。
クールなガンマン。 その上義理堅く、頼りになる男!
十三代目石原五右衛門。 古の大泥棒石原五右衛門の末裔、居合い抜きの達人。
何でも真っ二つにしちまう、怒らせるとこわーい男!
金形警部。 ご存知金形平次の子孫。 警視庁の敏腕警部。
俺を捕まえるのを生きがいとする、俺のもっとも苦手なとっつぁんだ!
謎の女、峰岸不二子。
女盗賊か女スパイか、この俺にも判らない謎の女…。
いつも酷い目にあうが、憎めないんだなァ…俺ァかわいこちゃんに弱いからねェ…
さてさて、これら一癖もふた癖もある連中に囲まれて、
どんな事件を巻き起こしてやろうかなァ…?
◇ ◇ ◇ ◇
2007年3月31日の午前七時。品川プリンスホテルの最上階の一室に宿泊していた寺野真也は目覚めと同時にベッドの中で大きく伸びをしました。昨夜の「夏川りみラストライブ」の興奮がまだ寺野の心に渦巻いています。
しかし、なんとすがすがしく気持ちのよい朝であることか。ふと、読みかけの本を取ろうとサイドテーブルに目をやり、寺野は驚愕しました。
本の間に、まるでしおりの代わりとして用いたかのように、一枚の封書が挟み込んであったのです。そして寺野にとってはそれは全く心当たりの無いものだったのです。
最大限の緊張と警戒心を持って、その封書を確かめました。宛名は「警察庁刑事局長 寺野真也殿」、差出人は不明。通常の定型封筒らしい。封書の内容は以下の通りでした。
警察庁刑事局長 寺野真也殿、
おかげさまで世間的にはよい日々、つまり私にとっては退屈な日々を送らせていただいております。しかし私には敬虔なクリスチャンの血が流れております。天の声の思し召しには逆らえないものです。このたび天職である泥棒稼業を再開する運びとなりましたことをご報告いたしたく存じます。
つきましては祝儀として、○△県にある「りみ島」に伝わる里美王国の財宝をいただきますことを予告申し上げます。
刑事局長様におかれましては益々のご活躍のご様子。あまりに順風満帆で完璧な上司ですと部下が大変です。時間にちょっと遅れるなどの軽い失敗をしてみるのも一興ですよ。というわけでご愛用のロレックスも失敬しておきました。
リュパン三世。
寺野は再びサイドテーブルに目をやり舌打ちしました。置いてあったロレックスをやられています。いずれにしても、リュパン三世一味の再登場です。休日返上で早速対策本部を設置し自らが委員長を務め、参謀および実行部隊の総指揮者として警視庁金形警部を任命し、戦いが始りました。