「フルサト」by ハイフェッツ


第30章 ルパン三世~里美王国より愛をこめて


エピローグ
 2007年12月24日クリスマスイヴの夜。
  中野のサンプラザホールで夏川りみの復活スペシャルライブ「愛する人へ2007」が開かれます。数多くのカップルやファンクラブ会員と思しき団体をはじめ、老若男女で埋め尽くされた会場は、今か今かと開演を待ちわびています。皆が幸せそうな表情です。

 四次元大介、石原五右衛門、峰岸不二子もその中に混じって開演を楽しみに待っています。何事か起こることを想定してか、金形警部も鋭い目で観客一人ひとりを吟味しています。

 午後7時開演。さらに美しくなった歌姫に観客は狂喜乱舞。夏川さんはその様子を見て、うれしそうに照れ笑い。新曲・新アルバムを中心としたプログラムで天使の歌声は健在。無限の可能性を秘めた天使から世界の歌姫へ!観客と一体となったステージは最高のクオリティ。

 四次元大介が五右衛門に語りかけます。
「素晴らしいな・・・。おい!泣いてるのか?」
五右衛門「うぅ・・・可憐だ・・・」
不二子もうっとりしています。

 言葉には出しませんが、三人とも同じ想いです。リュパンがいたら・・・。しかし同時に知っていました。ルパンがもう二度と現れないことを。

 かつて数年前、夏川りみの歌にリュパンの心は「まんまと盗まれました」。そして泥棒稼業から完全に足を洗ったのでした。偽リュパンが引き起こした夏川りみの危機を救うため、再び立ち上がり彼女のために全盛期のような天才的な行動力を発揮しました。しかしそれを果たすと共に大事なものを失いました。もう立ち直れないでしょう。
・・・そして、ステージはあっという間にクライマックスへ・・・。

 夏川りみのMC。
「ありがとう!皆様の応援のお蔭でやっと戻ってくることができました。」
大きな拍手。そして美しい三線をかまえます。
「この三線は、里美王国の昔から伝わる名器で、『里美姫』という名前がついています。とても大切なもので本来は門外不出なのですが、今日は特別にお借りすることができましたので演奏させていただきます」
場内はどよめきました。数ヶ月前の騒動時に話題にのぼったことを記憶しているのでしょう。
「今日はクリスマスイヴ。そしてコンサートのタイトルを『愛する人へ2007』とさせていただきました。だから、これから歌う歌はみんなにも一緒に歌ってほしいな。愛する人のこと・大切な人のことを想いながら、やさしい風を送ろうね」

 そしてスタンバイ終了。
「私も、私のことを命を懸けて守ってくれた人を想って歌うよ」

  「涙そうそう」歌唱

 
(ルパン三世~里美王国より愛をこめて 完結)

ルパン三世~里美王国より


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