「フルサト」by ハイフェッツ


第36章 笑いなさい (2007年6月3日)


(2007年6月3日)

 翌朝、倉敷駅で父と待ち合わせ養護施設へ向かいました。父も定年して久しいですが、その生活の殆どを姉の看病に費やしています。私は、仕事の都合とはいえ姉の世話を全部父に押し付けた形です。

 施設での姉の様子は、半年前に訪れたときと変わりありませんでした。調子のいいときには、父や私を見て涙を流します。しかし決して落ち込んだ暗いご体面ではありません。普通に家族に会いにきた、そんな自然な心持なのですが・・・。

 私はヴァイオリンを持ってきていたので、折角でしたので弾きました。姉と父に向かって。この日は12月24日。本来ならは心うきうきするクリスマスイブなんですね。ですからクリスマスソングを何曲か。

 病院の関係者や患者さん、見舞いに来た人などが集まってきました。夏川りみの曲も弾きました。「涙そうそう」「花」「イラヨイ月夜浜」。特に「花」は知っている人も多く、弾いてよかったなと思いました。夏川さんの歌唱をなぞるつもりで丁寧にヴァイオリンで歌い継ぎました。その施設でのヴァイオリン演奏は初めてだそうです。聴き手の心に響いたかどうかは不明ですが・・・。

 喜納昌吉氏の作詞作曲の意図とは離れますが、姉や父の今後に思いを巡らし、笑える日が一日も早く来ることを願いました。また、自身の無力さ・狡さには情けない思いがしましたが。

フルサト エッセイ 2007


夏川りみさんと遊ぼう