「フルサト」by ハイフェッツ


第35章 泣きなさい


(2007年6月2日)

 私の家族について書きます。こちらでたびたび書いている私の新しい家族のことでなく、私の生まれ育ったほうの家族の現在について・・・。

 2006年12月23日、私は小田原駅から新幹線に乗り込み広島に向かっていました。学生時代の音楽仲間たちと一年に一度会って語り合ったりするのです。

 今回は前年に続き、楽器持ち寄り。皆仕事や家庭で忙しいので、楽器の腕前や合奏の出来は問わず、楽しむのみ。何年も会っていない旧友とも再会。不思議なことに一言挨拶を交わすだけで、すぐに学生時代に戻れるのですね。いいものです。飲み会では各々近況報告や嬉しい電撃発表など。いい感じで盛り上がりますが、私はここで残念ながら中座。

 「また会おうね!」の言葉を残し、広島駅へ。新幹線で倉敷へ向かいました。列車の中で私の心には夏川りみの歌う「花」が響きます。周りの乗客を気にしながらも、私はとめどなく涙しました。

 今回の旅のもう一つの目的。それは岡山県倉敷の養護施設に入所している姉を見舞うこと。

 姉は私より1才上になります。今から8年前、突然のひどい頭痛に病院で診察を受けている間に意識を失い、すぐに手術を施し一命は取り留めたものの、再起不能となりました。病名は、くも膜下出血。以来、治療を続けましたが、回復の見込み無く、2006年2月より養護施設入所となりました。

 脳機能の回復が進んでいないこともありコミュニケーションが取れません。私や父を見てただただ泣くのみ。それが唯一の表現手段。だから姉には言いたい、思いっきり「泣きなさい」と。

フルサト エッセイ 2007


夏川りみさんと遊ぼう