「フルサト」by ハイフェッツ


第3章 童神


(2007年2月25日)

 70年代フォークソングが好きです。
  こう書くと真正のファンに叱られるかもしれません。私は1971年生まれだから、決して時代を共有していたとはいえないのです。それでもレコードあるいはCDを通じて、ある意味現代にも通じるメッセージを感じています。

 中でも「赤い鳥」という伝説のフォークコーラスは衝撃的でした。しっかりとした音楽を作り上げているのもさることながら、メインボーカル山本潤子さんの素晴らしい声は、歌い出しと同時に私の心に響きます。

 数年前でした、その山本潤子さんがソロで「童神」という曲をリリースしていたことを知りました。連れ合いのN子さんが銀座へ買い物に行くというので、ついでにヤマハでCD買ってきてと頼みました。

 帰宅後、N子さんはCDを渡してくれました。
「あれっ?これ山本潤子じゃないよ!」
  驚いた私に、N子さんは言います。
「まあいいから聴いてみて」

 三線に導かれて、ストリングスが流れ出す・・・そしてボーカル・・・。なんてきれいな声なんだろう!透明感があって、慈愛があって、・・・・。様々な形容詞、美辞麗句を思いつくまま挙げてみて、最後に想うのは一言、「言葉は要らない」。ジャケットを見直すと「夏川りみ」と。誰?

 夏川りみ

 美しい声を求めてさまよっていたら別の天使に出会いました。でもその若い天使は、なんとすばらしい天使であったことか・・・

 N子さんを振り返ると、穏やかな表情で目を瞑ってじっと聴き入ってます。そう、言葉は要らない。私も夏川りみの歌う「童神」にわが身わが心をゆだねました・・・

 大げさかもしれませんが、私の音楽観が変わった瞬間でした。

フルサト エッセイ 2007


夏川りみさんと遊ぼう