番外編 YS-11


Brompton ブロンプトン
我が家にはもう一台の折りたたみ自転車がある。設計販売は日本、製造は台湾というYS-11。かつて日本の空を飛んでいた国産旅客機と同じ名前で設計者が以前YS-11の設計に携わっていたということだ。

Brompton ブロンプトン
私は以前ブリジストンのトランジットライトという9.5Kgの折りたたみ自転車に乗っていて、電車に持ち込んだりしていた。しかし、ハンドルを抜いても折りたたんだ大きさには限界があり、もう少し軽くて小さくなるものを探していた。トレンクルは金額的に手が出なかったため、このYS-11を求めたのだが、電車に持ち込むという私の思惑からは少し違った自転車だった。


Brompton ブロンプトン
通常の折りたたみ自転車で採用されているダホン方式のヒンジ一つでフレームを折りたたむ方式ではなく、ヒンジそのものが無く、バラけないようにバネでつながっているものだった。組み立てるときは前後のフレームのパイプ同士を上から補助パイプをスライドさせて締め付けて止めるという発想。
組み立てがワンタッチとはいかないため電車に乗車下車を繰り返すような使い方には適していない。ヒンジが無いため折りたたんでも電車の揺れでグニャグニャして自立しにくいのも問題だった。

Brompton ブロンプトン
私の自転車はAグレードという種類でカタログ値総重量7.6kg。本体フレームが軽量化のため細く、特にこぎ始めや坂を上るときにツイストなどすると結構左右にねじれる。このねじれの問題に関しては、必ず試乗納得してから求められるようお勧めする。
ただ、フレームのしなりが大きいのでカーボン製のシートポストと相まって、14インチの小径車としては意外なほど乗り心地は良い。ただし、フレームが折れるのではという心配から逃れられないしなり方をする。

Brompton ブロンプトン
ハンドルポストがフォークと完全にガチンコする設計なので、たたんだ時の厚みが意外と小さくならず無駄な出っ張りが多い。折りたたんだあとは結束バンドで固定する。


Brompton ブロンプトン
スカスカで、とても真四角に折りたたむという訳にはいかない。細部の仕上げは悪くないのだが・・・

Brompton ブロンプトン
私の用途としてはあまり使い勝手の良い自転車ではなかったため、何年も乗っていなかったのだが、4階に引っ越してきて7.6Kgという軽さがジワジワと有難くなってきた。
考えてみれば組み立てが面倒ならば組み立てなければ良いのだ。つまりこのままハンドルポストを折って、シートポストを下げた状態で階段を運びそのまま町乗りに利用する。その状態で体に寄せて持つとこの自転車は本当に軽い。折りたたんでしまうと厚みが出来て重心が体から離れるため意外なほど重く感じる。27cmの薄さになるブロンプトンの方が軽く感じる程だ。大体我が家のクロネコが8.4Kg(太りすぎ)あるのでネコより軽いはずなのだが、持つと2倍ほどに重く感じる。ネコが抱かれ上手というか単に体にペタンとくっついてくるだけで軽く感じるわけだ。
折りたたみ部分が最初からつながっていて、ハンドル部分だけが折りたためるキャリーというシリーズが実在する。
ただ結局、何に使ってよいかわからないys-11の方は再び疎遠になってしまったのだが、たまたま我が家にあったと言うだけでブロンプトンと比較したのも気の毒な話だった。


Brompton ブロンプトン
それでも少しでも小さくたためないかという事でいくつかの改造を試みた。まずペダルを折りたたみにする。そしてハンドルが外に飛び出す欠点を少しでも和らげるために左右5mm程カット。ハンドルポストがカーブを描きながら飛び出すのも問題なのでハンドルを内側に折りたたむ方法に変える。ただしこのままではシートポストを50mmにして足代わりにしなければ自立は出来ない。

Brompton ブロンプトン
これが現在考えられる厚さ最薄の折りたたみ方式。あまり小さくなったようには見えないが確実に改善されている。ys-11に限らずブロンプトン以外の折り畳み自転車は、畳んでもさほど薄くなるわけではないので、数字以上に持ち重りがする。

Brompton ブロンプトン
これでバッグに入れるとこんな感じだが自立はし難いので立てかけてある。
その後、スライドパイプを使って組み立てるこのタイプのYS-11は生産が終了になったというニュースが飛び込んできた。まあ疑問の多い折りたたみ方式だったので仕方はないだろう。トレンクル、トランジット・スーパーライトなどの動向を見ると、一時小さなブームだった超軽量14インチの折りたたみ自転車の時代そのものが過ぎ去ったのかも知れない。
2020年、販売会社の廃業が発表された。