
もう少し寄ってみると良くわかるのだが完全にネジが緩んでいる。しかし歯車が邪魔をして六角レンチを入れる隙間が無い。ここは最初に絶対緩まない位きつく閉めておかないといけない場所なので少しあわててしまった。

ギア下の隙間は計ってみると7mmほどしかない。この隙間に差し込める工具は存在するのだろうか。

反対側を見るとこのように皿ネジが陥没していなければいけない訳だ。
ネジを一個締めるためだけにいちいちギア・クランクを外すという事は正常な事なのだろうか?
このスキの無い自転車で初めて感じた疑問である。
仕方が無いので専用のレンチを作るしかないのだろうか。
このヒンジのネジ構造は英国製とは違うらしく緩みやすいという話は以前から指摘されていたようだ。
個人的な改造のような事で直る話ならばやってもよいのだが、いかんせん工具の持ち合わせが何も無い。
一度強く締め付ければひんぱんに緩む可能性は低いのだが、ネジが緩んだときに簡単に締め付けられるように狭い場所に差し込める六角レンチを探してみた。
すると日本は広いものでANEX(兼古製作所)から「スリムオフセット六角レンチ」 という製品が発売されている。

10mmの隙間なら差し込めるので、先端を少し削れば何とか差し込めそうである。そこで近所のホームセンターで500円で買って帰った。隙間は7mmなので最低3mmは削らなければならない。付属の紙には「改造はしないように」と書いてあったが、このままでは使えないので削らせていただきます。まあ、自分で使うだけだし、自己責任ですね。

ヤスリで削り始めたが、熱処理がしてあって中々削れない。やはりグラインダーが無いと時間がかかりそうなのでとりあえず休憩。

そこで、少しくらいなら斜めでも使えるボールポイントレンチでやってみるとギリギリ行けそうである。

ギアの隙間から斜めにボールポイントレンチを差し込むとカッチリと入った。廻し始めると驚くほどネジは緩んでいた。ギアが50Tだったら差し込むのは無理だっただろうが48Tでよかったと思う。何とかネジは締められたが、硬く締め付けるのは角度的に難しいので、秘密兵器「スリムオフセット六角レンチ」を7mmに削った後に、キュッ、キュッ、キュッと締め上げてやりたいものだ。

そして、どうしても早く 「スリムオフセット六角レンチ」で締め付けたいので7mmまで削る事にした。最初は砥石で削り最後はサンドペーパーで削った。

ちょうど7mmまで落としてある。なるべくレンチ側を残したいので裏面も限界まで削った。フレーム同士を繋ぐヒンジ部の中には鉄芯が入っているので、両側から完全に締め付けた状態で、中で鉄芯ごと回るようになっている。だからいくら締め付けても大丈夫。

7mmまで削ったレンチをブロンプトンのギアとヒンジ部の隙間に差し込んでみると思いのほか余裕があった。もう少し長くても大丈夫だった様だ。
締め付けてみるとどんどん締まっていく。やはりこの位きつく締めておかないと安心は出来ない。
ただ、今度緩んでも 「ボールポイントレンチ」と「スリムオフセット六角レンチ」があれば安心だ。備えあれば憂いなし。この締め付けコンビで、今後は不安の無いブロンプトン生活がおくれるのではと思う。
二本のレンチを常に携帯して町で台湾製のブロンプトンに出会ったら次々に締め上げてあげよう。キュッ、キュッ、キュッ。
ちなみにイギリス本国製のブロンプトンはこのヒンジ部のネジは絶対緩む事はないそうで、中の心棒を交換しようと思えばネジを壊さない限り交換も出来ないように出来ているそうだ。緩んで困る場所は断じて緩まないように出来ているという大英帝国の底力。やっぱりイギリス製が欲しいなあ。