英国製でも緩んでしまった


メインフレームと後三角を繋いでいる折り曲げ部分のネジが台湾製は緩みやすい。
英国製の方はこのネジが絶対緩まないというウワサのようなものがあった筈なのだが、私の英国製はあっさり緩んでしまった。
想定外の天変地異が次々と起こる昨今、ネジが緩むなどということは地球的には小さな事件なのだが、しょせん人間の創造物に絶対など無いと言う事が良くわかった。
別にブロンプトンに失望したわけでは無く、あのブロンプトンでもそんな事が起こるのだと言うことが判ったので、いざという時のために用意はしておく必要があると言う教えだろう。


今にもぶつかりそう



折り畳んだときに後三角とギアチェーンが非常に接近しているのが気にはなっていた。


日に日に隙間が無くなりとうとう紙一枚が間を通らなくなった。



チェーンリングの穴の間からのぞいて見ると、どう考えてもこの出っ張りはイギリス製にはありえないと言われていたネジの緩みに間違いありません。
台湾製のように隙間が大きければ六角レンチを差し込んで締め付ければ良いのだが、イギリス製は芸術的なまでにギリギリに作られていてレンチなんて差し込めません。
台湾製はこんなにネジが緩んでいたら、後三角がガタガタして、乗っているときにフレームが左右によじれ、すぐに気が付いたのだが、英国製は普通に乗れて気が付かなかったので、逆に注意が必要かもしれない。

クランクセットを外す


横から六角レンチを差し込めない以上、クランクセットを外してボルトを締め付けるしかない。


まず、クランクにはめ込んである樹脂のカバーを細いドライバーを差し込んで外す。これは手前に引っ張れば簡単に外れる。


カバーが取れると六角ボルトが見える。錆がひどいので、そのうちステンレスに変えようと思う。でも少々錆びても鉄のほうが粘るし強いはず。



ボルト回しで左に回せばボルトが外れる。


六角ボルトを外すとこの状態になる。昔の自転車やさんはここで向こうからトンカチでコンコンなどやってクランクを外したものだが、ブロンプトンのようなアルミのクランクに衝撃を与えたら簡単に変形してしまう。


コッタレス クランク抜き



クランクを外すためにはシマノから専用の工具TL-FC10が出ている。
自転車屋さんで1500円ほどで売っているのでブロンプトンの様に後三角の事情がある自転車は一つ持っていても便利と思う。
自転車屋さんでボルトが緩むたびに外して締めてもらうと、こんな金額ではすまないはず。


クランク抜きをクランクの穴に差込みネジを右に回してロックする。その後中のネジをモンキーなどで右に回して中に押し込む。すると外周部が手前に押される形でクランクと一緒に出てくる。


クランクが外れた



クランクが外れると後三角のネジが現れた。すごい緩みようだが、これで良く車体がガタガタしなかったものだ。
ネジを一度外してエポキシ接着剤を内部のメスネジ部分に爪楊枝で塗った後にネジをしっかり締め付けた。これで当分緩むことは無いだろう。


クランクセットを付けてみると後三角とチェーンの間には随分空間が出来ていた。
改めてブロンプトンは小さく折り畳むために様々な工夫をしているのだと思わずにはいられなかった。


ブロンプトンはこの10年注文に生産がまったく追いついていない状態だという。
一般的な会社ならば大量生産販売の誘惑はあるのだろうが、品質管理を犠牲にしてまで大量生産をするつもりは無いと宣言している。
大量に作った製品を短期間に安価に売りさばいて、翌年には又、目新しい製品を作って売り逃げるといった事を繰り返すメーカーが折りたたみ自転車の世界では多いので、良質の自転車で長く商売をしているのはブロンプトンを始めとした数社だけである。まあ、供給が需要を上回った瞬間、販売先との力関係は逆転し、安売りなどが始まるのが常なので、台湾OEMの教訓もあって、そのあたりには特に神経質になっている印象を受ける。
ブロンプトンの1981年の生産前モデルの写真を見ると現在販売されているモデルと変わらず、すでに現在販売されている製品と同等のレベルに殆ど到達しているという驚くべき完成度をすでに示していた。