ジェニーサスとは
加茂屋のジェニーサスは何気に部品が多く、バネの両側と内部にクッション性の高い樹脂製のエラストマー、先端にジュラルミン製のカップ、他に専用のワッシャー2個で、もし走行中に外れてバラバラに落ちた場合は拾い集めるのが大変かもと変な心配もしてしまう。
車体に装着時には、ジェニーサスの両側は形状的に無理があるため、クッション性の高いエラストマーの変形頼りの力技での装着となる。
ブロンプトンのサスペンションブロック・ハードタイプの重さは我が家のハカリで30g。ソフトタイプは手に持つと、明らかにハードより軽いのだがハカリに乗せるとやはり30gあたりになった。結局このハカリでは軽いものを正確に測るのは無理のようだ。カタログ値ではソフトが26gでハードが32gなのだそうだ。
加茂屋のジェニーサスはちょうど100g。金属製なので70g程度の増量は仕方が無いと思う。
サスペンションの比較
3種類のサスペンションが揃ったので、走行中にサスペンションは実際のところ、どんな動きをしているのかが気になり撮影を試みることにした。
デジカメを小型の三脚に付けてシートポストに自転車用の荷ゴムでしばりつけて撮影をした。カメラは我が家に一台だけある衝撃に強いのが売り物のデジカメを使用。
ブロンプトンのサスペンションブロック・ソフトタイプ。
左側は体重をかけていない状態。右は体重をかけて走行していない状態。私の体重は現在70Kg なのでやはりソフトタイプではサスペンションが完全につぶれてしまって、走行中に衝撃があっても、これ以上に縮むのは難しいためショックを受けきれないのではと思われる。
ソフトタイプとハードタイプの分かれ目は体重60Kgとの事なので、私の場合はソフトでは完全に体重オーバーという事らしい。
ブロンプトンのサスペンションブロック・ハードタイプ。
左側は体重をかけていない状態。右は体重をかけて走行していない状態。
ソフトに比べると70Kgの体重をかけてもまだバネには余裕がある。
こちらはブロンプトンのサスペンションブロック・ハードFIRMタイプ。
左側は体重をかけていない状態。右は70Kgの体重をかけて走行していない状態。良く見ないと判らないくらいしか押しつぶされていない。ソフトタイプとハードタイプFIRMではあまりに極端なその硬さに驚く。まさかブロンプトンの積載重量の限界である110Kgを想定しているのだろうか?
加茂屋のジェニーサスでも同様にやってみた。左は体重をかけていない状態。右は70Kgの体重をかけて走行していない状態。
見た感じでは一番適度に沈み込んでるようだ。バネの中を通してあるエラストマーを交換すると、ソフトにも、もっとハードにも出来るらしい。私の体重なら黒エラストマーでちょうど良いと思われる。
走行中にサスペンションがどのように動いているかを観察するため適当な場所を探していた。すると公園内に石畳が敷き詰められた場所があって走ってみると結構な衝撃が伝わってくる。
国内では出会うことが無いような過酷なデコボコ道だけれど、サスペンションの比較にはこの位でないと、という事で撮影開始。
石畳を走行中の4種類のサスペンションの動きの動画。
ブロンプトンのサスペンションブロック・ソフトタイプは体重をかけた瞬間から沈み込みが大きいため、縮み方向には殆ど動けていない。
ハードタイプは70Kgの体重には一番素直にクッションの役割を果たしている。乗っていても一番地面の衝撃を上手く受け止めているように思う。
FILMハードタイプはサスペンションが利いているのか不安になる程、見た目は動きが小さい。乗ったまま体重をかけたり緩めたり揺らしてみてもサスペンションブロックは少ししか動かない。
加茂屋のジェニーサスは砂利道の細かい振動をそのまま素直に受け止めているようだ。明らかに衝撃に対する返りはゴムより早く次の衝撃にも対処できている。ビデオでは良く違いが判らない。
サスペンションブロックの適正体重は一体
ソフトとハード2種しかないブロンプトンのサスペンションブロック。一応60Kgを境にという事らしいのだが、何だか硬さに差がありすぎて突っ込みどころ満載の状況にちょっと実験をしてみることにした。
ソフトタイプは柔らかすぎ、70Kgの体重には沈み込みすぎて殆どクッションの役目を果たせないことが判ったので、ハードタイプから試してみることにした。
まず、自分の体重を80Kgにしてみてブロンプトンのサスペンションブロック・ハードタイプに乗ってみることにした。急に太るのは無理なので地震用のミネラルウォーターをリュックで背負い体重計で調整しながらピッタリ80Kgになった。
左はハードタイプに体重をかけていない状態。右が80Kgの体重をかけたところ。
ハードタイプに80Kgの体重で乗ってみると、80Kgでもまだ沈み込みには余裕があり十分にバネの役割を果たせそうだ。
それではと、もうひと頑張り、90Kgの男にもなってみた。なってはみたのだが20Kg近く水を背負うと滅茶苦茶リュックが重い。体重がある人の身になってみると大変だろう事はわかったが、乗られるブロンプトンの方も大変だなと思う。
左はハードタイプに体重をかけていない状態。右は90Kgの体重をかけた状態。
90Kgで乗ってみると意外にも、まだ余裕を見せるハードタイプの粘りに驚く。そろそろ危ないが、まだまだクッションの役割を果たせそうだ。
そして次はブロンプトンとしては最も硬いFIRMハードタイプを試してみる。
左側はブロンプトンのサスペンションブロック・FIRMハードタイプに体重をかけていない状態。右は80Kgの体重をかけた状態。70Kgよりは少し沈む程度で大きな変化は無し。
左側はブロンプトンのサスペンションブロック・FIRMハードタイプに体重をかけていない状態。右は90Kgの体重をかけた状態。70Kg,80Kgとの変化の差は良く見ないと判らないほど。触っただけでガチガチの硬さなのは判っていたが、ソフトタイプとのあまりの落差に呆然。
やはり、FIRMハードタイプは積載制限の体重110Kgでも使えるように出来ているらしい。
さて逆にサスペンションブロック・ソフトタイプでは70Kgの私が乗るとペシャンコになってしまう位柔らかいのだが、もっと軽い人間が乗った場合、ブロックのつぶれ具合はどの程度なのだろう。
私の体重を減らすことは出来ないので、嫌がる奥さんに頼みこんで60Kgになるまで、水を背負ってもらうことにした。
ブロンプトンのサスペンションブロック・ソフトタイプ。
左側は体重をかけていない状態。右は60Kgの体重をかけて走行していない状態。
これを見る限り体重60Kgですでに相当に沈み込んでいるのが判る。伸縮に若干の余裕はあるが、実際にはリュックも背負うし、大きな段差などの瞬間的な衝撃は大きいので吸収しきれないのではないだろうか。体重60Kgを超えたら迷うことなくハードタイプのほうが衝撃を吸収してくれる。ソフトタイプの最適体重は50Kg近辺だと思われる。
試してみた結果ソフトタイプの適正体重は~60Kg。ハードタイプの守備範囲が体重60Kg~80Kg、FIRMハードタイプが80Kg~110Kgというという事になりそうだ。
ソフトとハード、FIRMハードの感想
体重70Kgの私が乗るとソフトタイプのサスペンション・ブロックはあまりに柔らかすぎてつぶれてしまい、歩道の段差などの衝撃をまともに受けてしまう。石畳などの小さな振動の連続も軽減出来ず直接下から響いてくる。やはり体重60Kg未満でないと性能が発揮できないようだ。
ハードタイプのサスペンション・ブロックは私には沈み込みもクッション性能も最適で、大きな段差も小さな振動も確実に吸収してくれる。私の体重に最適なサスペンション・ブロックといえる。
FIRMハードタイプは手で触るとカチカチでサスペンションになるのだろうかと心配になるほどだが、実際に乗ってみると、サスペンションが硬いためだろうか、圧力に対して戻りが早く上手く振動を吸収してくれる。厚みがあって沈みに余裕があるので、段差などの瞬間的な衝撃にも対応してくれている。私にとってはソフトより結果は良かったが、ハードタイプほどのねばりとしなやかさは無い。
ジェニーサスの感想
ジェニーサスは歩道の段差などでもガツンとは来ずフオンといった感じで、随分と衝撃を和らげてくれる。
ジェニーサスのようなバネでは衝撃の後の跳ね返りがありそうだが、中を通してあるエラストマーが上手く暴れを防いでいるようだ。
ジェニーサスで100Km弱の距離を一日で走行してみたが、やはり疲れが違う。大きな段差では腰を上げるが、少々の段差ではサドルに乗ったまま乗り過ごせるのが大きい。
だが、個人的には疑問点が無いわけではない。サスペンションを加茂屋のジェニーサスに替えると、その滑らかさとショックの軽減は確かに実感できるのだが、私としてはジェニーサスは70g重くなると言う事と、サスペンションブロックのハードタイプが調子が良いので迷うところ。黒い固まり一個のサスペンションブロックに比べて部品の多さもメンテナンスの面で引っかかる。
それでも乗り心地を重視すれば、たしかに効果はあるし、4800円以上の見返りは十分あるので、必要な人は沢山いると思う。
そしてやはり心配していたことが起こった。ジェニーサスのストロークが長いため、ネジを締めるのを遠慮気味にしていたのだが、折りたたんで転がしていたときに異常を感じて見るとネジと樹脂ワッシャーが落ちていて、ジェニーサスが不安定な状態でブラブラしている。乗っていた訳ではないので、落し物は近いと思い後方を探すと、運よくネジとワッシャーを見つけることが出来た。乗車中に落ちたら絶対に見つけられないと思う。
工具が無いので手で締め付けたが、ゆるみ止め付きのネジは手では強くは締められない。帰りはゆっくりと、そして度々下りてネジの状況を確認しながらの帰宅となった。
これはジェニーサスのミスではなく、しっかりと締め付けなかった私のミス。ネジの青い滑り止めの部分にネジがしっかり入るまで、ネジは回す事にしよう。
やっぱり気になる
ジェニーサスの両側の締め付けはどう考えても形状に無理があるため、若干の加工を加えることにする。オリジナルのままではシャフトが短すぎてネジを締めにくいのも問題。
ジェニーサス構造図。赤い部分が削られた部分。
まず、下エラストマーの内周を削って樹脂ブッシュがフィットするようにした。
最近は見かけない古いミニドリルの先端に歯を付けて少しずつ削りながら樹脂ブッシュを当てて、サスペンションブロックの様にピッタリとはまる様にして完成。
樹脂ブッシュがエラストマーにはまってガイド部分だけが飛び出ている。
下エラストマーは硬質なので削るのは意外と簡単。
上エラストマーはシャフトを差し込むと、穴の形状がテーパが付いていないため、無理やり押さえつけての装着になるため、シャフトに合うように中心の穴を削る。上エラストマーは弾力性に富むため工作は少し大変。
柔らかくて研磨はしにくいのでカッターナイフで少しずつ削っていった。
一番問題なのはジュラルミン製のカップリングで上エラストマーとの結合部に無理があるため加工を加える。ただ加工はしなくても乗っているうちにエラストマーの方が変形してカップの内側最前部に入り込んでしまうので、そのままで良いといえば良いのかもしれない。
それでも私は気になるのでカップリングの前面を、返しギリギリまでグラインダーで削ることにした。厚さがかなりあるので時間もかかるし面倒だしめげそうになるも工作終了。
エラストマーの方をカップリングに合わせて削るのも選択支としてはあり得るのだが、せっかくのクッションが減るのは問題なので、やはりカップリングの方を削ることにした。
完成したジェニーサスを取り付けてみると、もちろん見た目に大きな変化は無し。乗ってみても違いを感じることは出来なかった。