フロント・キャリアを自作してみた



ブロンプトンのフロント・キャリア・システムはハンドルに関係なくフレームに直接荷物が積めるため安定した走行が出来ると言われている。言われてはいるのだが、大枚はたいて買い求めるほどの余力も願望も無い。ただ前面に入れ物は欲しいので自作に挑戦してみた。
金属で作れれば丈夫で長持ちするのだろうが、失敗したときに被害の少ないように手元にある材料で簡単に出来ないかと考えた。


そこで、捨てないでおいた古いマスクを解体してガーゼにする。そしてガーゼを何層にも重ね合わせて接着剤で固めれば丈夫なプラスチックと同じようなものが出来るのではとの希望のもとに最初のガーゼを、キャリア・ブロックに乗せてマジックで輪郭を描く。ブロックに装着する基盤の平らな部分を作るわけだ。


ポリ袋を敷いた上にガーゼを乗せてマジックで書いた輪郭内にエポキシ樹脂系接着剤を爪楊枝で塗っていく。


塗ってはガーゼを乗せて、塗って乗せてを繰り返し15枚のガーゼが積みあがった状態で上にもポリ袋を乗せて全体が平らになるように上に重しを載せて固まるまでおいて置く。私は一時間タイプの接着剤を使用して一晩放置して完全に固まってから次の作業に移った。


固まったところでキャリア・ブロックにロックするための四角い穴をあける。一晩たっても柔らかさは残っているのでカッターで穴をくり抜くのはさほどの難しさではない。



キャリア・ブロックにポリ袋をかぶせて接着剤が付かないようにした後、穴にカチャっとロック出来るように下の出っ張りを合わせる。


そのまま塗っては張ってを繰り返す。角の部分は一番力のかかる部分なので、交互に重ね合わせながら接着剤をたっぷり塗って強靭にし上げる。


重ね終わったらポリ袋で全体を包み接着剤が固まらないうちに、全体に接着剤が回るように密着する。



平らな机の上で密着させながらコロコロしたり上からへらなどで押さえつけたりする。


一晩置いて完全に固まった後にキャリア・ブロックから引き抜いたところ。
巻いていたポリ袋はエポキシ樹脂が固まれば綺麗にはがれるのでご心配なく。一晩ではコチコチには固まらず指で押せば少し柔軟性がまだあるので、引き抜くときも割合スムースに抜ける。



このままでも実用的には問題ないのだが、少しは形を整えたほうが綺麗かなと思い、型枠をはめて接着剤やガーゼで凹んだ部分などを充填することにした。あまりに時間がかかるのでこれ以降は5分硬化型のエポキシ接着剤に変更。


大体、平らに出来たので仕上げは接着剤を塗った面を平らなポリシートの上に乗せて固まるまで放置する。ヒントとしてはきんつばを焼く要領で一面ずつ仕上げていく。


そしてガーゼ補強プラスチックによるアタッチメント部分はこれで完成した。かなりごつくなったが強度を考えて薄くとは考えなかった。



そして100円ショップで売っていた柔らかなゴミ箱?を取り合えず装着してみた。ハンドルを曲げてもフレームに付いているカゴは前を向いている。これこそがフロント・キャリア・システムの素晴らしい特徴なのだが、ブロンプトンにゴミ箱?か。デザインよりも心情的な違和感を感じたので却下することにした。


そしてやはり100円ショップの台所用品コーナーにあった台の片側の足を切ってL状にしてアタッチメントを取り付けてみた。この形状だとカバンやカゴなど何でも取り付けられる。頼りなさはあるけれど、ガーゼ補強プラスチックの部分はかなり強力なので針金が曲がればまた別のものを取り付ければ良い。


そして取り付けるための裏板(表板?)を作ることにする。まず網とアタッチメントを簡単に接着する。



ポリ袋の上にガーゼを敷いてエポキシ接着剤を均等に染み込ませる。


その上にポリ袋の乗せてポリでサンドイッチにする。


そのまま、網の上に型どおりになるよう指で丁寧に押さえつける。例のごとく接着剤が固まったらポリをはがして再度接着剤を塗りガーゼをかぶせる。谷間の部分を埋めたりして全体が平らになるようにする。



かなり厚くなったところで型から外すと裏板が出来上がる。


サイズを合わせて周囲の余計な部分を切り取る。カッターでは無理で金ノコを使って少し大きめに切断しヤスリで仕上げる。網とアタッチメントを固定するためのネジ穴を4つ空ける。


フロント・キャリア・ブロックを差し込むので皿ネジを使用しネジの頭が埋まるように穴をさらう。



これで完全に装着出来た。ガーゼ補強プラスティックは十分丈夫だと思うのだが金具の方は100円ショップの食器棚なので強度上せいぜい1,2キロのものが限度だろう。


実際にフレームをブロックに装着。差し込むだけでワンタッチなのは純正品と同じ。違うのは見た目アタッチメントのごつさとフレームの華奢さ。


ブロンプトンに装着するとこんな感じになります。ここまでくればカゴを付けてもカバンを付けても良い。



取りあえずリュックを載せて見ると中々ではありませんか。


フロント・キャリア・システムはハンドルの動きが荷物に連動しないので、どの程度違うかをカメラをハンドルに直結した場合とフロント・キャリアに載せた場合とで比較してみた。


前半がハンドル直結。後半がフロント・キャリアに装着。明らかにフロント・キャリアに装着したほうがNHKの「世界ふれあい街歩き」のような流れるような映像に近づく。フロント・キャリアにカゴを付けて子犬でも乗せれば、ハンドルの動きで目が回るような事もなくワンちゃんもご満悦の小散歩が出来るだろう。
通りで出会った犬好きの美しい女性とお近づきになる日も近い。