実はまだまだスクラップ材をチェーンソウでぶった切ったり斧で割ったり積み上げたり、それからカナダの確定申告の書類も仕上げなくちゃいけないし、いろいろやることがあって、とんでもなく忙しいんですよねぇ。
でもインディアンとのコミュニケーションも
決して欠かせないビジネスの一部でもあるので、
一緒に行くことにしました。
シャチの親子、見られるかも知れないしね。
「じゃ、朝6時半に」 え? ああ、仕方ないスね。
翌日、3月14日、雨。昨日わざわざ買った新品の熊手を持ち、確定申告の書類作りで夕べは2時間しか眠ってないというのに無理して起きたのに、漁業監視船は30分遅れの朝7時に迎えに来ました。
船に乗り込むと、女の人や子供達も含めてたっくさん人が乗っていて、座る場所さえありません。
「うわぁ、これって友達一家も誘ってみんなでピクニックってこと?」それはそれでレポートにちょうどいいな、と既に頭の中では原稿のプロットがスタートしました。
子持ち昆布の塩漬けのため、
海水にさらに岩塩を混ぜて
濃度100%の塩水(飽和状態)を
作りま す
2002/03/14
しかし、行き着いた先は……、
例のニシンの生け簀です。
あれ?そしてふと気がつくと、
カッパを着ないでぼーっと立っているのはぼく一人。
あれ?
「ゆき、あれやってくれ、これやってくれ」
と容赦なく注文が飛んできます。
あれ? なんのことはない。
今日は子持ち昆布の収穫と漬け込みが行われて滅茶苦茶忙しくなるので、まんまと騙されてそれにかり出されたのでした。
ブチッ! 一本切れました。 こんなところまで連れてこられてはどうしようもないので手伝います。
それに騙したのはあの漁業監視官であって、他の人たちはそんな事情は知らないのです。
年輩の男衆が生け簀から子持ち昆布を引き上げ、女の人たちがそれをグレード別に分けていきます。
塩水の濃度を測るツール
2002/03/14
バスタブのようなコンテナに海水をはって、さらにそこに岩塩をどっさりぶち込んで、スコップでかき回して濃度100%の塩水(飽和状態)を作り、そこに一度子持ち昆布を十分浸してから船尾に運んで、やはりグレード別にコンテナの中に大量の塩と共に漬け込んでいきます。
子持ち昆布が見えますか?
2002/03/14
みなそれぞれ楽チンなパートにへばりついて離れないので、
ぽっかり空いている塩水のバスタブに付けるところから船尾のコンテナに運ぶところまでをぼく一人がやることになりました。
収穫した子持ち昆布を
グレードべつに分けていきます
2002/03/14
グレード分けの段階で破れているところとかをどんどん切り捨てるのですが、
みんなじゃんじゃん床に捨てるばかりで誰も処理せず、
山のようになった屑子持ち昆布を、村に持ち帰るため漁業監視船に運び込むのもぼく一人でやりました。
バスタブの水と雨とでぐしょぐしょです。
夕方近くになってくると、漬け込みを担当している若いインディアン達は寝っ転がってろくに働かず、ぼくに「あれもやってくれないかな、これもやってくれないかな」なんて言い出しました。
村へのお裾分け用に
漁業監視船に投げ込まれた
クズ子持ち昆布の山。
もしもし?
いいのもいっぱいだよ。
2002/03/14
ぼくを騙した漁業監視官が「どうだ、いい働き手調達してきただろ」なんて言いながら、偉そうにぼくに命令してきたので、ブチブチブチッ!
もう怒ったよっ!
「おいおい、ゆき、悪かったよ。子持ち昆布いくらでも何十キロでも持っていって良いから怒ることないだろ。
日本じゃ、お前、手が出ないほど高いっていうじゃないか」なんて、まだ偉そうに言う。
うるさい、バカ! 俺は食い物になんてさして興味はねぇんだよ。
だいいちこんなもの何十キロも持って帰ったって一人でどうしろっちゅうんじゃ。
帰る、バカ!
船出せ、バカ!
久しぶりにブチ切れました。
昆布からはがれてしまったために
「ゴミ屑扱い」から一転、
ホステルに持ち込まれた
数の子の一部。
しかし、やはり「海洋投棄」か?
2002/03/22
でもそれからです。
生け簀関係者と顔を合わすたび、
大量の子持ち昆布や数の子が
ホステルに届けられるようになりました。
いらないっちゅうのに、
結局何十キロも集まっちゃった。
どーぉぉしろっちゅうんじゃ。
海洋投棄か?
2002/04/16 by Yuki
このレポートはHummingbird International Hostelのユキ様より頂いています。