カナダからの手紙


hummingbird-hostel 【前略 ハミングバードホステルより】 ハミングバードホステル(3)
by ユキ 09/14/00


三年ほど前にカナダのある町で「お好み焼き屋を開こう」という計画で動いていたことがあります。結局その話はぽしゃったのですが、まあ本題はその話ではないので、それはそこらへんに「よいしょっ」と置いておいてですね、今回お話ししたいのは、その計画中に、その町にあったジャパニーズコミュニティーセンターに立ち寄ったときの出来事です。
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そのジャパニーズコミュニティーセンターでは毎週1回、日系二世とか三世とかの人達を対象に、無料の日本語教室を開いていました。ぼくはまるっきり日本人顔をしているのは間違いないと思っているのですが、ヒトが言うにはなにやら雰囲気が違うとかで、日本国内にいるときでも、たとえばバイトの面接などに行くと、二回に一回は「ニホンゴハナセマスカ?」と聞かれてしまうくらいなので、そのときも、これから日本語教室があるのですがよかったら参加なさいませんか?、と“英語で”お誘いを受けました。ま、ヒマだったので参加しましたよ。

生徒さんたちは、年齢は六十代くらいの白髪のおばあちゃんからまだ十代の女の子まで、年齢層はバラバラでした。ただ共通して、みんなほとんど日本語は話せません。 教室の講師を務めるのは、四十代くらいの、カナダ人の夫を持っているという(もともとが)日本人のおばさんで、そのアシスタントとして、二十代前半くらいの日本人の女の子たちが四~五人横にくっついている、という状態でした。女の子たちは地元の小学校や高校などで、ボランティアで日本語を教えていると言っていました。

その授業内容にはまあびっくりしました、というか呆れ返りました。講師側のおばさんや女の子たちの態度が非常に傲慢で失礼なのは、バンクーバー辺りの店先なんかで目にする日本人店員も、皆多かれ少なかれそんなものなのでそう特筆することではないとして、それにしても、教えている側の人間が、まるっきり日本語というものが解ってない!言っておきますがその人たちは、生まれも育ちももちろん日本で、ようするに……日本人なわけですよ。

でもね、「れる」とか「られる」とかの文法はめちゃくちゃ、単語の意味だって、「かわいい」と「きれい」、「人格」と「性格」の区別もできない。三日月というものがいったい何なのか、とか、まあこれはちゃんと説明できる人が少ないかもしれないけど(三日月とは新月から三日後の宵の口に、西の空に右下が明るい弓状で見える月ですね)、「人に教える」という行為をする以上、あまりに無知では最低限の誠意を欠いてしまっていることになるのではないでしょうか?

また、彼女たちは「主人」という言葉に異常な敵意を持っていて、わたしたち女は男の奴隷ではないのだから、今の日本では夫のことを「うちの主人」などと呼ぶ妻はいない、などと教えていました。へんだよ、あいつら。日本の文化を教えていると言うより、自分たちの無知と偏見を押しつけている。それはちょっと違うんじゃ、と生徒に指摘されても、私たちの言うことが正しい、と上から見下ろす。まるで新興宗教の教祖様。

ぼくがたまらず「あんたたち、やりすぎ」と異議を却下されたおばあちゃんに助け船を出すと、「そりゃ日本人が聞いたら間違っていようがなんだろうが、どうせこっちの人には解らないんだから、これはこうなんだ、て言っておけばいいんです。日本でだって外人たちがめちゃくちゃやってるのを文句言う人なんていないんだからいいんです。私たちのやることにケチを付けるならさっさと帰ってください」と、くってかかられましたよ。へんでしょ、やつら? へんだよねえ?

ひとこと、言ってもいいかな……♪「くたばっちまえ!アー、アーメン(by シュガー)」 

   Hummingbird Int.Hostel

このレポートはHummingbird International Hostelのユキ様より頂いています。