カナダからの手紙
【前略 ハミングバードホステルより】
ハミングバードホステル(15)
by ユキ 05/30/01
★ さてさて、前回で、カナダ大使館での面接バトルは終了しました。果たしてどんな結果が待っているでしょう…
★
一週間くらいで結論は出るのだろうか? 藤沢の居候先で、何をするともなく、友達のお母さんと、コタツでテレビを眺めて、また一日が過ぎた。
◇◇◇
面接からちょうど一週間後、退屈なのでコンビニでも行くか、と思っていた矢先に
(友達は朝から晩までハードに働いているというのに、申し訳ない)、大使館から電話がきた。
「ビザの件なんですけど、太田さん、アメリカで二回却下されてますよね。それで、同じ路線でこのアメリカの決定を覆すのはかなり難しいんで、それでですね、太田さんは文章書かれて、賞もとったり、雑誌や新聞にも度々登場されたりと、メディアに強い、という、その方向で押したいんですけど、それで押し切れるだけの具体的な材料が欲しいんですね。例えば今度BC州政府観光局との提携でカナダ特集を組む山と渓谷社・月刊「Outdoor」の発行部数なんかを知りたいんです。なんとか調べられますか?分かり次第、お電話かFaxいただきたいんですけど」
むうう、やっぱり、アメリカの決定でまだ引っかかってたのか!でもだ!日本のビザセクションは完全にやる気になってくれている。ここだ! 押し切れるぞ!もう一押しだ!
アメリカの決定をひっくり返す?!いいぞ、それだけでもわくわくする!
「分かりました。すぐに調べてお電話します!」山と渓谷社・月刊「Outdoor」編集部に即、電話だ。この雑誌には、「夢の放浪者」という特集で最近登場した。タイムリーなことに、近々、カナダ特集も組まれるのだ。「電話、電話」
う~ん、しかし、誰も出ない。月刊誌の編集部だ。午前中に電話しても誰もいなくてあったり前か。十一時半でも誰も出ないので、広報に電話して、発行部数だけ確かめた。
大使館に電話する。 「発行部数は分かりました。コンタクトが取れ次第、編集部に行って、カナダ特集号のこととか、詳しいことを聞いてきます」
「わかりました。また新しい情報が入ったら、Faxしてください」
翌日、顔見知りの編集者とヤマケイ本社で待ち合わせた。編集長まで話を持っていって、そこからBC州政府観光局のほうからも押してもらえないか、探ってみてくれるという。
その夜、藤沢の居候先に帰ると、カナダ大使館から封書が来ていた。ビザ発行の通知が入っていた。
え?今日届いたということは、昨日のうちにすでに発行して、速達で送ってくれたということか。
そして「カナダでのご活躍に期待しています」という手書きのメモ。
ありがたい。「人の好意は、本当にありがたいものだなぁ」大使館の係官、雑誌社、そしてお世話になている友達の家族。大勢の人たちが、好意だけでこんなにも僕を助けてくれた。がらにもなく、ジーンとしながら、空を仰いだ。
このレポートは
Hummingbird International Hostelのユキ様より頂いています。