カナダからの手紙


hummingbird-hostel 【前略 ハミングバードホステルより】 ハミングバードホステル(8)
by ユキ 10/25/00


わがハミングバード・ホステルには、なんとも不思議な冷蔵庫があります。開けてみるたびお楽しみ。今日は巨大なサーモンの骨(尾頭付き)と、すばらしく大粒のイクラが大量に入っていました。このあたりの漁師や子供達、あるいはインディアンの人達が、しょっちゅう、イヤと言うほど、何かしら魚介類が捕れるたび持ってきてくれては冷蔵庫の中に置いていってくれるのです。
◇◇◇

でもはっきり言って、イクラなんかは持ってこられても、どう処理したらいいもんかわからなくて持て余していたんですよね。それで大部分は冷凍庫に直行、という運命をたどってたんですが、今日のイクラはホント大粒だし美しいので、ついに食べることにあまり興味のないめんどくさがり屋のわたくしに、ひとつイクラ丼でも作ってみましょう、という気を起こさせたのでした。

まずはイクラを包んでいる薄い膜を取り除きます。お湯をサッとかけるとよいらしいのですが、だいぶ前に挑戦したとき、グツグツと煮立っちゃうは、膜はかえってドロドロのグリス状になって除去不可能になっちゃうは、という大失態を犯しているので、今回はただ単に手でえいえい、と取り除くことにします。ついで塩水でバシャバシャと洗って、醤油をふって、冷蔵庫でしばらく寝かせましょう。あらあら何やってんだかこの人は…、なんて呆れている人がいたら、ぜひうちのホステルに来て、処理の仕方を教えてください。そのとき間違っても日本酒が必要とか、みりんがあったら、とか、無い物の話は持ち出さないように。こんな辺境の地では、何事も「ある物で勝負!」が原則です。

さて、ご飯が炊きあがったので、アツアツのところへ先ほどのイクラをドッカリ!とかけました。そしてこのあいだ、バンクーバーアイランド界隈で白いブラックベア、通称「スピリットベア」の写真を撮っている若い日本人カメラマンが海苔を置いていってくれたので、そいつをかけます。それからやっぱりこのあいだ、日本から十年来の友達が遊びに来て置いていってくれた、チュ-ブ入りの山葵を少々…と、おおお、美しい。美しいですなあ。素晴らしくきれいなオレンジ色のつぶつぶがてかてかと光り輝き、海苔の黒、山葵の緑、お米の白がまた美しすぎる。思わず写真を撮っちゃった。パシャ。

じゃあね、じゃあね、いよいよいいかな?えへへ、いっただっきま~す。う…、ひょぉ、うま!美味いよ、これ!うまいっす!

と、大喜びしているところへ、いつもカニやウニをくれたりして親切にしてくれている友達のインディアンの息子が、一抱えもある段ボール箱を重そうに持ってきました。「オヤジがユキに持ってってやれって」「ホント? 何かな? ありがとね」開けてみたらアラびっくり。「でぇぇぇ!」

イクラ、超!大量やんけ。今日、村の漁船が、二千匹近くサーモン獲ってきたんだって、そういえばさっき、無線で言ってた。「大漁のお裾分けするから、船着き場にみんなです集まれ!」て。それでぼくが喜ぶと思って、イクラ、こんなに持ってきてくれたのね。し、しかし、これはとても食いきれん。だって台所のシンク、イクラでまるまるいっぱいになっちゃったよ。どぉぉしよぉぉぉ、これ?う~ん、とりあえず、写真でも撮ってから考えよ。パシャ。

Hummingbird Int.Hostel

このレポートはHummingbird International Hostelのユキ様より頂いています。