カナダからの手紙


hummingbird-hostel 【前略 ハミングバードホステルより】 ハミングバードホステル(11)
by ユキ 04/25/01


さてさて、前回でこれまでの概要がわかっていただけたということにして、今回は、登場する本人の視点で、お話を続けていきたいと思います。

東京の赤坂、地下鉄で言うと、青山一丁目の駅からほどないところに、カナダ大使館のビルがある。

去年、藤沢の居候先からビザの申請をしに行ったときは、まず小田急線で新宿まで出て、新宿から丸の内線で赤坂見附かどこかまで行って、そこから都営線に乗り換えてまた一駅か二駅行かねばならなかったので、時間も交通費もずい分とかかった。
◇◇◇


それが今年は、新宿からなら、新しく開通した都営「大江戸線」で直接青山一丁目にアクセスできるようになったので、時間的にも経済的にも、カナダ大使館に行きやすくなったのはありがたいことだった。

しかし、何度行っても、大使館というところに出向くのはそうそう気持ちのいいものではない。非日常的なのはもちろんだが、かといって遊園地のようにうきうきと浮かれ気分で出かけていって、そのまま機嫌よく帰ってくることはなかなか想像しにくい場所だからだ。

日本にある外国の大使館では、ほかにはニュージーランド大使館と、オーストラリア大使館くらいしか行ったことはないのだが、逆に海外にある日本大使館には、今まであちこちの国に旅行に行くたび出向いたものだ。僕の場合は、日本の比較的新しい新聞が読めるから、というのが主な理由だったが、何か困ったこと、聞きたいことがあったり、ましてや祖国の懐かしさを感じて「甘い」考えで出かけて行くと、日本人職員にコテンパンに見下されて、意地悪されて、たいていの人間が、がっくりと疲れきって帰ってくる。

ちなみに国内では、東京渋谷にある某外国大使館で、僕はそのときは、ある文学界の会長が大使から借りたぬいぐるみを返しに行くという、超個人的なお使いで大使館に行かされたのだが、日本人職員のお姉さんたちの、思わず「うそ!○○病院の看護婦達よりも態度わりぃジャン!」と呆然とつぶやいてしまうほどの意地悪にやられて、当の大使に会うことすらできずに、ぬいぐるみだけ置いて、そそくさと帰ってきたという経験をさせられた。

ま、勉強にはなりましたよ。しかし、やっぱりそういう経験はトラウマ(心的外傷)化していたようで、カナダ大使館に向かうぼくの足取りも、かなり重かったのは、仕方がないと思う。

シアトルで二度も申請料だけ取られて、2分で却下されたのと、同じビザを申請に行くのだから、なおさらだ。 ああ~ああ。はあ~ああ……。 思わずため息ばかり出る。

申請に際してそろえなければならない書類は、シアトルにある領事館と日本にある大使館とでは、けっこう異なる。

日本にある大使館のほうが、顔写真やパスポートのコピーなど、細かいものまで指定してくるが、ほとんど金だけ受け取ってその場で「却下、却下」のシアトルの領事館よりも、よっぽどちゃんと審査してくれそうな期待はもてる。    (つづく)

このレポートはHummingbird International Hostelのユキ様より頂いています。