カナダからの手紙
【前略 ハミングバードホステルより】
リターンズ(4)
by ユキ 07/13/01
今でこそ熊と出会ったって「あ、熊」て普通に思う程度ですが、初めてブラックベアとジャングルのなか至近距離で遭遇してしまった瞬間には、それはやっぱり背筋の凍る思いをしました。
でもその日思わずうちのビジターズブックに書き込んだ文章からは、けして恐ろしい体験をしたのではなく、むしろ「良い出会い」であったことがありありとうかがえるので、抜粋してみます。
◇◇◇
☆ July27,99 ♪あるう日(チャッチャッ)、森の・な・か♪……ちゅうかズバリ今日なんスけどね、汗みどろでトレイルを切り開いていて、トレイル上の蜂の巣を壊してやろうと巣に向かっていたら、熊とバッタリ!
ほんの5メートルくらいの距離でまさしくハチ合わせ。
10秒くらいお互いに観察したあと、ぼくが仕草で「どうぞ」とやると、熊は蜂の巣を壊して蜜をなめました。壊すつもりだった蜂の巣を熊が壊してくれて助かった。こないだべつの巣壊したときけっこう刺されたからね。
その後8分くらい熊はぼくのすぐ前を歩いていましたが、もう少しでビーチというところで、またブッシュの中に入っていきました。熊はべつに危なくないね。
(後略)
July28,99 長い間の謎が解けました。なんでね、“花咲く森の道”で出会った熊さんがお嬢さんに「お逃げなさ」と言ったのか……?
それはね、きっと 「これからミツバチの巣にアタックをかけますよ。ハチが怒って刺しに来ると思うから危ないですよ」
♪お逃げなさい♪ ということなんですよ。きっとそう。
やさしい熊さんだね。 いくつになっても新しい発見がたくさんあります。 ☆
どうでしょうか。それは熊は、素手で戦ったらまず間違いなくこちらが死ぬであろう相手ではあります。しかし決して危険きわまる相手ではありません。
金太郎さんが♪熊にまたがりお馬の稽古♪をしたのも、あながち嘘ではないな、と思っています。
現代人が熊と出会ったときに、ただ恐ろしいと感じるのは、人間は、日本人は、すっかり熊とのつきあい方を忘れてしまった、ということなのではないでしょうか。それは、とっても残念なことに……。
このレポートは
Hummingbird International Hostelのユキ様より頂いています。