カナダからの手紙


hummingbird-hostel 【前略 ハミングバードホステルより】 ハミングバードホステル(13)
by ユキ 05/17/01


さてさて、東京のカナダ大使館で、労働ビザの申請を済ませたハミングバードホステルの彼ですが、その後いったいどうなったでしょう。

二週間がたち、三週間がたち、一ヶ月がたち、一ヵ月半がたった。だのにいまだにカナダ大使館からは、何の音沙汰もない。
◇◇◇


そろそろ桜も咲き始めようという春三月、関東も日に日に暖かくすごしやすくなってきている。 ぼくのホステルに最も近い、バンクーバーアイランド西海岸のトッフィーノにあるホステルでは、すでに毎日満員御礼の日々が続いているという。

そろそろ四月になっちゃうぞ、というある日、ようやく大使館から、面接においで、という知らせが届いた。ビザが下りようが下りまいが、建物の管理のためにカナダに戻らなければならない、と、あせり始めていた頃だった。

面接当日。 五年に一ペンくらいしか着ない、スーツにネクタイ。普段なら、半年に一回行くか行かないかの床屋にも昨日行って、散髪を済ませてきた。

東京赤坂、カナダ大使館。 2001年3月27日。午前10時00分。決戦の時刻がやってきた。

ビザセクションの待合室で名前を呼ばれるのを待っている間に、すでにぼくの口の中は、緊張でからからに乾いていた。

あとでそのことを友達に話したら「へぇー、ユキさんでも緊張することがあるんだ」なんて笑われたが、そりゃあぼくだって、顔には出さなくたって、いつも人並みに緊張くらいしている。

好みの女の子の前では、冗談さえろくに言えないことだってある。

面接室の半開きのドアに明かりがともった。マイクで名前が呼ばれる。待合室にいる人たち全員の注目を浴びながら、面接室に向かうぼく。さあ、ドアをスライドして部屋に足を踏み入れるなり、面接官との火花散るやり取りが始まった。

「カナダに初めて行ったときの目的は何でしたか?」え?そんなこと関係あるの? うわ、それにしてもいきなり痛い質問から始まった。えっとね、えっと…、ホントはここでも触れたくないんだけどね。

「あのー、以前カナダ人の女性と結婚してたんですけど、その、結婚のとき、彼女の両親に挨拶するために行ったのが最初です」

「え?あ、あー、そうなんですか。カナダ人と? 結婚なさってた…。でも以前というと…、あー…、離婚、なさってるんですね」うわ、いたたた、痛いなあ。

このレポートはHummingbird International Hostelのユキ様より頂いています。