カナダからの手紙


hummingbird-hostel 【前略 ハミングバードホステルより】 リターンズ(2)
by ユキ 06/13/01

ここ1週間、予約はあれど、誰もこの島までたどり着いて来ません。理由は簡単、去年もおんなじタイミングでおんなじことが起こったっけ。

すなわち、観光シーズンに入って、ここアホーザットに渡るにはどうしても通らなければならない、トッフィーノという町のツーリストインフォメーションセンターがオープンしたんです。やつらはトッフィーノにツーリストを足止めするため、いつもとんでもない嘘をつきます。
◇◇◇


# ウォータータクシーは片道一人60ドルする。 (それでは二人以上いるなら、水上飛行機チャーターのほうが安くなってしまう。ホントは14ドルです。)

Or

# フローレスアイランドには人なんか住んじゃいない。レインフォレストしかない。 (千人近い人口の、北米最大級の、有名なインディアン、ヌートカ族{現ヌーチャヌルス族}の村があります)

Or

# フローレスアイランドに行く船なんかない。行けるとすれば、地元の漁船をヒッチハイクするしかない。(も、こんな嘘、あきれて物も言えない)

等々。

過去二年、何度も何度も苦情を入れました。1999年なんか、ぼくはトッフィーノの商工会のメンバーでもあったくらいなんだしね。

もちろんやつらはいつも「誰もそんなことは言っていない」と答えたけど、実際うちまでたどり着けたお客の誰もが、トッフィーノのインフォメーションに上記の類のことを言われた、と教えてくれました。

トッフィーノはこの界隈の燃料の販売を独占したくて、地図からアホーザットのガソリンスタンドを消しちゃったりとか、そんなことだって平気のへー。

二次大戦のときも日系人社会がとんでもなく辛酸をなめさせられたという話も残っている、むかつく町なのです。

例えば、第二次大戦のとき、日系人はキャンプに強制収容されたわけですが、その強制収容が行われるとき、パシフィックリムナショナルパークの一方の端であるユキューレットでは、町の人たちが事前に情報を教えてくれて、家財道具なんかを一切預かってくれたというのです。

片やもう一方の端のトッフィーノでは、町の人たちはぎりぎりまで強制収容があることを黙っていて、さあ、いよいよ明日強制収容が行われるぞ、という日になって、いきなり、実はこうこうこうなんだけど、たった1ドルででも家財道具を売り払っちまわないと、結局一切合切没収になっちまうからな!と脅して、日系人たちの財産を、それこそ二束三文でぶんどっちゃったんですって。

だから、戦後、ユキューレットには日系人社会が戻ってきたけれど、トッフィーノには誰一人戻ってこなかったんですってさ。

なぁるほぉどね~。妙に納得してしまう、この町の逸話なのですなぁ。

このレポートはHummingbird International Hostelのユキ様より頂いています。