- 三月の昼の日江の島にあそぶ
- 頼朝の献立つきて春の水
- 成美
- 江の島へ回つた丈の日永哉
- 茶静
- 川越し
- かち越しの川上渡る霞かな
- 一雙
- 江の島の宿の衣桁や春の月
- 痩佛
- 江の島の春を拾ふや櫻貝
- 痩佛
- 江の島へ女の旅や春の風
- 子規
- 絵の島の蛤分つ土産かな
- 同
- ゆく春の網や曳く待ちつ焼蠑螺
- 青々
- 江の島の開帳久し島帰る(東行航路)
- 同
- 蛤に江の島の藻の匂いかな
- 綺堂
- 赤きは椿一箕の塵を潮に乗つ(漁村)
- 井泉水
- 江の島の波高き日や春の雪
- 碧梧桐
- 潮時の黒鯛釣るゝ遠霞
- 亜浪
- 橋の上から蠑螺を買ふや春の雨
- 虚明
- 壷焼や島をめぐりて潮鳴る
- 青峰
- 木々の芽や風の吹きいる島社
- 木公子
- 濃碧に紫紺一筋春の海
- 雉子郎
- 妻倶せば島神妬む汐干哉
- 鶯池
- 宿とれば江の島近し春の雨
- 一櫻
- 檜かゝばやしかと心に春の島
- 文六
- 江の島へ草履の旅や春の草
- 一樹
- 春の日を雲さへぎりて橋長き
- 同
- うらゝかや島の子岩の孫の岩
- 同
- 江の島にありし旬會や春の潮
- たけし
- 壷焼を島の商人すゝめけり
- 未灰
- 巫女の家椿の上に仰ぎけり
- 郡雀
- 春潮や島のめぐりにつく鮑
- 松濤
- 大岩に下り立ちて見ぬ春の潮
- 萩香女
- 強東風や皆戸を閉めて土産店
- 潮路
- 蠑螺売り小桶並べて岩陰に
- 藻波
- 蠑螺売り浪寄せくれば店じまひ
- 三彩子
- 春潮の高鳴る島へ渡りけり
- 白桐
- 江の島や葭簀の中につぼ焼屋
- 白露
- 江の島や鎌倉厨子の春がすみ
- 葉影
- 春潮や人憇ひいる畳岩
- 手古奈
- 陽炎へる巌に並べし蠑螺哉
- 屑雲
- 壷焼や行逢川はまのあたり
- 蕪廸
- 壷焼屋富士見る床几列べあり
- 一朶櫻
- つぼやきや海へなゝめに松の幹
- 朝江
- 春風や貝の笛吹く土産店
- 青崖
- 絶壁を落ちつぐ風の椿かな
- 手古奈
- この島に老いさたばひて鮑採り
- 石竹
- 江の島へ吹かれて渡る蝶々哉
- 竹青
- 壷焼の店つゝぬけに海見ゆる
- 東竹
- 斗ではかる魚生き居り春の島
- 蘇人
- 江の島へ渡る人あり海うらゝ
- 勇太郎
- 江の島や一蝶が霞土佐が浪
- 禹玉