早速、遠浅の海岸をどんどんと沖へ追いかけていきました。
コツは引き潮の時を見はからって、水流の中で砂地を掘り、比較的大きなアサリや貝殻が流される方向を見定め、到達したポイントの下をまた掘り返す、という繰り返しです。
(図2)
しかし水流も始めの内は段々と勢い良く流れるのですが、末端になるとだんだんと幅が大きく、流れも緩やかになり、やがて大きなアサリでも、流されないほどの水流となります。さて水流の中ではここが最大アサリサイズラインと言うことになります(図2)。
(図3)
しかし話はここでは終わりません。この最大アサリサイズラインでは底の砂地は周囲の砂浜より若干掘り下げられており、少し掘っただけで、目の細かい層に行き当たります(図3)。場合によっては嫌なにおいがすることもあるでしょう。水流に流されてきた土質分が堆積しているのかもしれません。よってアサリは水流の中では比較的浅いところにのみ、生息しており、大きさにも限界があるようです。低すぎる塩分濃度、あるいは引き潮、満ち潮の際に流れの方向が変るため、定着して生存すること自体が難しいのかもしれません。
(図4)
一つ、アサリの身になって考えてみて、この最大アサリサイズラインを周囲の砂浜側に延長してみることにしました。比較的運動性能の低い貝類であるアサリとしては、激しい水流が無く、掘りやすい砂質の方が、水流直下の土質よりも定住しやすいはずです。
掘り進んでいくと、さらにアサリサイズは増大します。特に砂の層が厚く、深く掘らないと土質層が露出しないようなところほど、サイズは大きくなります。
流れに運ばれた中型サイズのアサリが周囲の砂地にもぐりこみ、そこで安穏として、大型化するストーリーが想定されます。特に、砂地を掘った時に、下側から水が湧き出すような個所が絶好でした。
目の荒い砂地では、岸側からの水流に由来する塩分濃度の低い水が上面から浸透する一方、海水は比較的重いために海側から砂地の下部に浸透し、この海水が砂地の下面から上面に湧き上がっているわけです(図4)。
アサリにとっては、定住に適した不動の砂地が提供されている一方、定期的に水の交換が保障され、しかも汽水に由来する栄養分、海水に由来する栄養分の混合により、プラントンも沸きやすいというこの上も無い、理想条件となっています。
(図5)
さらにこのポイントを岸側から沖の方へ、水流と平行なラインを辿って掘り進んでいきます。これをアサリ巨大化ラインと私は名づけました(図5)。
このラインを沖に進むと、より高い塩分濃度に適応する一方、荒い砂地をテリトリーとして、外敵への抵抗性も高い、大きくて旨い巨大アサリが棲息することになります。
実はこのラインをどんどん延長すると、巨大アサリに混じって、シオフキが出現し始めます。一般にシオフキは、アサリよりもサイズが大きく、運動性も高く、要求塩分濃度も高いですから、当然のことと言えるでしょう。
シオフキも新鮮なものはなかなか旨いですが、砂出しを始めとして、料理法が難しい。しかし、今のところ、仮説の段階ですが、このラインをさらに延長していけば、幻のバカガイポイントが。。。。。。。。
素人の私の考えた機構としては仮説の部分が多く有るわけですが、実際に結構なアサリの山に遭遇した私としては、「ここまで明かしてよいのだろうか?」と、悩むところです。砂浜の実際の場所だけはご勘弁。。。。。。というところで、さよなら!
(本文・図 by Mahcyan 2007年5月)
この「潮干狩りのテクノロジー」 は大阪にお住まいのまーちゃんから頂いた投稿をそのまま掲載したものです。
アサリなどの二枚貝が大きな波でコロコロ移動して干潟の凹んだ部分に引っかかって落ち着くのは、私も経験しています。
大きなアサリが小さな凹みを乗り越えて沖に転がって行く大移動と、アサリ巨大化ラインの仮説は関西だけではなく、他の地方でも大いに潮干狩りに役立つ情報と思います。
潮干狩りファンの永遠の夢、超巨大アサリを探す際には、是非参考にしたいと思います。
史上最強の潮干狩り超人