貝毒について
潮干狩りで貝を獲るのも食べるのも楽しいけれど、
一つだけ心配が・・・
そう貝毒の事です。
夏には貝を食べるなとか、生殖腺には気をつけろとか言いますが
いったいどう言う事なのか調べてみました。
貝毒の原因
渦鞭毛藻のアレキサンドリウム・カテネラ
広島のカキなど西日本の貝類を毒化。
赤潮が発生するのでわかる。
アレキサンドリウム・タマレンセ
北海道、東北のホタテガイ等を毒化。
赤潮の発生は無し。
ジムノディウム・カテナタム
山口県仙崎湾、大分県蒲江湾で毒化。
我が国の貝類は植物プランクトンである
アレキサンドリウム属とジムノディウム属を食べる事によって
毒化していきます。
毒化の時期
ホタテガイでは7月が毒性値が最大になります。
しかし、1975年の尾鷲湾矢口浦のアサリ、ムラサキイガイの毒化は1月。
1996年の大分県蒲江でのジムノディウム・カテナタムによる
アサリ、ヒオウギガイ毒化は3月。
広島のマガキの毒化は毎年4,5月。
かなりバラバラだということが解りました。
遡りますが1942年から1950年まで春先に毎年
浜名湖のアサリやカキを食べた人が多数ベネルピン中毒になり
患者総数455名中126名が死亡という最悪の中毒事故が起きました。
戦時の事でもありますが、その後浜名湖では貝の毒化は起きておらず
現在では安心して食べられる貝の産地です。
対策と注意
北海道、東北のホタテガイに関してはホタテガイが毒化の速度が遅いのに対し
ムラサキイガイが毒化の速度が速いため常に毒化の時期には
ムラサキイガイの毒化をモニタリングしていて毒化した場合には
ホタテガイの出荷を停止する等の処置をとっているようです。
20年ほど前北海道の小さな港の堤防周りにホタテガイが沢山見えて
こんな浅い所に沢山ホタテがいる。網で獲れるぞなんて思ったが
あれは・・・ 漁師さんが捨てたのでは?
あれを食べていたらウウウウウウウウウ....
広島のマガキに関しては毎年4,5月と時期が決まっていますし
時期も短く毒性も低いとされています。
我らが潮干狩りで獲るアサリやバカガイはどうでしょう。
毒化する地域は毎年同じ時期に毒化するので、
逆に言えば毒化の無い地域は
次の年も毒化の可能性は低いと考えられます。
海中の植物プランクトン等の有機物を食べているアサリは
有害なアレキサンドリウム属とジムノディウム属も居れば
食べて毒化してしまう。
同じ場所のアサリは大丈夫だがバカガイは毒化した、
と言うような事はありません。
毒化するときは速度の差はあれ同時に毒化していきます。
しかし前述の戦時中の浜名湖でのベネルピン中毒は例外として
アサリの毒化は一般にあまり強くないようです。
(一番強力なのはホタテだそうです)
幸い横浜金沢海の公園ではアサリの毒化の報告は無く
今年もきっと楽しい潮干狩りが出来るでしょう。
でも毒化は今まで無くても何時起こるか解りません。
徐々に地域が拡大しているようです。
毒化は昨日今日で急に毒化すると言うものではなく徐々に進行します。
そしてピークを迎えて終息します。
ですから、その土地の情報には常に気をつけていることが必要だと思います。
管理潮干狩り場でしたら漁師さんが常にモニタリングしている筈ですので
安心して潮干狩りを楽しんでください。
参考文献
基礎水産動物学 岩井保・林勇夫著(恒星社厚生閣1990)
貝のミラクル 奥谷喬司著(東海大学出版会1997)
貝のパラダイス 岩崎敬ニ著(東海大学出版会1999)
掲載引用につきまして許可を頂いております。