絵に描いたような完璧な潮干狩り


様々な潮干狩りの教訓をすべて守った完璧な潮干狩りとはどんなものか。

一家紹介

浅利さん一家はごく普通のサラリーマン家庭です。
お父さんの名前は浅利砂男。お母さんは浅利浜子。
長女海子ちゃん7歳と長男岸男くん5歳の4人家族です。

今日の潮時は

今日は4月の土曜日。お父さんは隔週土曜日がお休みです。
お父さんも幼稚園、小学校ともお休みの日。
そして、今日は大潮で干潮が11時30分。
潮干狩り指数で調べると何と年に数回しかない超最適の日です。
それに、天気は快晴。風も弱く潮干狩りに行くしかない絶好の日です。
おまけに大安吉日だったりして。
このあたりでちょっと怪しいのですが気にしないで先に進んで下さい。

持ち物は

まず、持ち物検査。熊手と網とクーラー。クーラーに入れる保冷材も忘れずに。
保冷材はペットボトルに水を入れて凍らせておくと使いやすいです。
自分の陣地を作るためには敷物も必需品。これは忘れるとかなりきついです。
後、貝を包む新聞紙。貝の欠片で切った時のために救急バンソウコウ。
よその子が怪我をした時も持っているとお役に立てます。
潮干狩り場ではよその子も家の子も何故か皆可愛いんですよ。

服装は、快晴なので長袖の白っぽいシャツに帽子。
美人のお母さんは日焼け止めクリームを忘れずに。
子供用の下着と服の着替えも忘れずに。
おっと、靴下もね。
熊手は先のとがった忍者仕様のものは小さい子には非常に危険ですので先のとがっていない物を強くお奨めします。幼児はプラスチック製のお砂場仕様も良いです。
海の怪我は塩の殺菌作用で膿む事は先ず無いのですが救急バンソウコウは便利です。



出発前にする事

綺麗な海水が取れない時のために、アサリの砂抜き用に水を桶に貯めて置きます。
通常の水道水ですとカルキを含むため砂抜きに適さないので
帰宅までにカルキを抜いておくためです。
新鮮で綺麗な海水が取れない場合は家庭で塩水を作って砂を抜いた方が衛生上良いそうです。
ただし、海水に比べると圧倒的に砂が抜けません。可能な限り、海水を持ち帰ることをお勧めします。


それでは出発です

出発はかなり時間の余裕を見ます。
干潮の2時間前、今日ですと9時半には海岸に着きたいですね。
潮干狩りの超最適な日は潮干狩り場周辺はとても車が込みますので注意。
何故、皆超最適を知っているのだろうと不思議なくらい知っている。
渋滞で間に合わなくなったら途中で降りて電車というのもありです。


潮干狩り場に着きました

海岸を見渡してみます。
あるある。ちょっと盛り上がった部分が。
海の流れが当たる反対側の斜面とその麓がポイントです。
海藻が溜まっている様なところはプランクトンも一杯居てアサリもポイントなんだよねー。
汚がって誰も掘ってなかったりしてラッキー。
ポイントで大きいアサリだけを狙います。
「パパこれなーに?」と海子ちゃんの声。見ると黄色のうどんのような物が。

インターネットでしっかり勉強してきたパパは全然慌てません。
「これは、アメフラシの卵でうみぞうめん」というものだよ。
「パパすごーい。何でも知っているんだね」パパの鼻が整形もしてないのに少し高くなったみたいです。
「ンーン、アメフラシって何?」
パパは少し慌てても慌てたフリはしません。


近くを見るとやらせ番組の様にアメフラシがいます。
「海子。これが、親のアメフラシだよ」
「パパ本当にすごーい」
そんなこと言ってくれるのも今のうちだけだとブツブツ独り言をいうパパであった。
うみぞうめんの近くには親のアメフラシが居る可能性が高いので探してみてください。
ただ、生きているとは限りませんよ。(写真のあめふらしは生きています。)

アメフラシは何と巻貝の仲間で貝殻は退化して体の中に隠れています。雄雌同体で産卵期には体の前半分が雄。後ろ半分が雌の役割をしたりするそうです。そして結果複数のアメフラシが数珠つなぎになって完全に輪になっていたという信じられないような例もあるそうです。こんなことは海子ちゃんには絶対言えません。何しろ殻が小さく殆どが身なので大きいし食べられたらラッキーなのだがどうも美味しくないらしい。以前テレビで酢の物にして食べる所をやっていたが、これは美味いといつもは連発するレポーターが絶句していたので多分駄目でしょう。私もお姿を見ると、とても挑戦する気にはなりません。

みのもんたさんの思いっきりテレビでアメフラシを食べるところをやっていました。ウミシカとか言い出したので悪い予感がしたら、やっぱりアメフラシでした。鳥取県の中山町の皆さんがウミシカ(アメフラシ)を食べて元気だと言うのだが・・。性格のよさそうなリポーターがウミシカの酢味噌あえやらキムチあえなど食べていたが、海の香りがとか歯ごたえがとは言っていたが、ついに「これは美味しい」とは言わなかった。ゴムみたいと一言。
ただし、アメフラシの餌は海藻で餌が有毒物を含んでいる場合は本来無毒のアメフラシも有毒化するので注意が必要。皆で食べている地方はともかく最初のモルモットにはなりたくないです。

2012年9月に、またまた日本テレビ系「秘密の県民ショー」 でやっていました。
全国でのビックリ海鮮料理に順位を付ける特集で第一位には 「アメフラシ」が選出され輝くビックリ栄冠を獲得。10位の沖縄のウミヘビの煮物など私的には相当の物だったし、ヒトデの卵をすすって食べる熊本天草が第3位。そんな強敵の中、アメフラシが一位とは!!
まあ、ビデオで流れた海中を歩く姿はグロテスクそのものだし隠岐の島町に住む島根県民は「ベコ」 と呼んでいるそうだが、ベコって牛の事だし海の牛といえばアメフラシだろうから、大体想像は付いてましたけどね。それにこの手のビックリ海鮮料理には欠かせない島根県と聞いては間違いないところ。
8位のヨメガカサとか2位のヒザラガイは普通に美味しそうだったが、アメフラシは自分的には食べられそうも無い。やっぱり優勝で正解かも・・・



さあアサリはバッチリ獲ったぞ

さあ大切なアサリの持ち帰り方です。何しろ今日は潮干狩り超最適の土曜日。
温度は上がるし車の渋滞も厳しそう。
もっとも浅利家ではクーラーも保冷材の用意もバッチリですので心配は要りません。

アサリは持ち帰る前に水道水で簡単に洗います。
アサリは真水に浸けておくと死んでしまいます。でも、洗うくらいなら全然大丈夫。

アサリを真水で洗う理由:(ただし、つけると死んでしまいますから流水で)
真水で洗うことによって貝の表面に付いた海水中で魚介類に付く腸炎ビブリオ菌などを洗い流し衛生的に効果があると同時に、アサリが真水を嫌がり口を堅く閉じるので帰宅中に外気の影響を受けにくく結果的にアサリの新鮮さが保たれる。
腸炎ビブリオ菌は真水や加熱に弱い菌で、アサリなどは加熱調理するケースが多く,腸炎ビブリオによる食中毒はほとんど心配ありません。
 食中毒が起こるケースとしては,(真水で洗わなかった)菌が付着した貝類を調理台やまな板などに長時間放置した場合,調理台とまな板は菌に汚染されている。汚染したまな板上で生野菜などを調理すると食中毒になるケースがある。十分に洗浄・加熱消毒をすることがポイントです。
(学習院女子大の品川明先生より)

きんのり丸さんもアサリの宅配便配送の際は真水で洗ってから配送されているそうです。

       海の貝は真水で洗え
             川の貝は塩水で洗え

持ってきた新聞紙を水道水で湿らせ洗ったアサリを包みます。
クーラーの中には凍らせたペットボトル。
その上に新聞紙に包んだアサリ様を鎮座させます。乗せるだけです。
もう一つペットボトルをアサリ様の上に乗せると猛暑でも完完璧壁です。

ここで、お弁当にします。「お母さんのお弁当は美味しいね」と言いたい所ですが
朝が早かったので、コンビニのお弁当です。でも砂浜で食べるお弁当は美味しい。
太陽の下、帽子の影から見える妻浜子の顔は何時にも増して美しいのであった。
パパ砂男さんも何故か頼もしく見えたりして「会社で一生懸命仕事するフリをして潮干狩りの勉強してきて良かった」と改めて思うパパであった。
さてアサリの世話もここまでやれば、車の後ろのトランクに入れても全然OK。
潮干狩りの後、何処かで遊んでもOK。


無事ご帰還です

帰宅したら、朝くんでおいた水を使いペットショップで買っておいた
人口海水の素で人口海水を作ります。これで完璧です。
人口海水の素が無ければ食塩を使って塩水を作ります。濃さは3%です。
正確に水1リットルに30グラムの塩。塩はなるべく自然塩が良いです。
そして用意しておいた砂抜き用の入れ物。


私の知る限り最適な物は100円ショップで買ったカゴとトレイのセット。
税込みで210円也。
これに、ひたひたに塩水を入れます。
アサリをなるべく平らに並べます。
この入れ物が沢山あると良いですね。

砂抜きを始めたらアサリがピュッピュッ始めますのでお風呂場に置いておきます。
暗くするか出来ない時は何かで蓋をして暗くします。
お風呂に入る時は何処か廊下にでも置いておいてください。


上の網カゴを上げて見ると下のトレイには砂がたまっています。この網カゴの威力は抜群です。
一度網カゴで砂抜きをするとその威力に納得。
もういい加減な砂抜きは出来ません。粘液と混ざった細かい砂は水中でも軽くなかなか下に落ちません。

何時間かたってそっとかごを上げてみると下に砂がたまっています。
少しカゴを揺らしてアサリを洗うようにすると貝殻に付いた汚れも落ちます。
予備の海水があればもう2時間程度新しい海水で砂抜きするのも良いでしょう。
ただ、普通は最初の2時間であらかたの砂は吐いてしまいます。その後は少し吐く位で何時間つけても、あまり変化は無いようです。

水温も20度前後になるように置く場所を考えます。

水温16度。アサリの活性は低いです。マテガイだけは元気。


水温21度。非常にアサリの活性は高くなりました。



翌日の朝に

水温が低かったのでアサリを一晩浸けておきました。朝、アサリを水から出して新聞紙に包み冷蔵庫へ。
今日は日曜日。朝には無性にアサリが食べたくなった浅利家のお父さん砂男さんでした。
一部を取ってお味噌汁にします。美味しい。
でも夜はもっと美味しいんだよ。

夜の食事の為にお昼の12時にアサリを冷蔵庫から出します。
そして、夕飯に食べる分をお皿に乗せてそのまま室内に放置します。
残ったアサリは又濡らした新聞紙に包んで冷蔵庫に入れます。

アサリを海水から出して室温で放置するとアサリにストレスがかかりうまみ成分がアサリの中に出来るそうです。すると、嘘の様にアサリは美味しくなります。
(学習院女子大の品川明先生より)
私も両方実験してあまりの味の違いに驚きました。6時間室内に放置したアサリは、格段にこくとうまみが増してお味噌汁がまったく違った味に成りました。先にこちらを飲んで後で普通のアサリを食べると、あまりの淡白、味の無さに「ビックリしたなーもう!」です。(潮干狩り超人)

その日の夕食は

お味噌汁に、アサリの酒蒸し。アサリのサラダ。
これでもかとアサリが食卓にのりました。
6時間食堂に置いておいてアサリにたっぷりストレスを与えたので
バッチリ甘み成分のコハク酸が出て、美味い美味い。
「又、潮干狩りに行こうね」岸男君。
パパも「OKOK」とご機嫌です。

完璧な潮干狩りを目指しすぎるとストレスが溜まったりしますので
この通りにやらないといけないというものではありません。