アサリの目の秘密


実験1

家で、三%の塩水にアサリを入れ、水管を出して呼吸している時に、急に強い光を当ててみました。ホタテガイなどのイタヤガイ科の二枚貝では外套膜の上に黒い点の外套眼と呼ばれる眼が沢山ついています。アサリには黒い点は無いのですが何処に眼があるか解りませんので、貝殻を半開きにして斧足も水管も外套膜も出している状態で光をあててみました。

すると、「何をする!」といった感じで、慌てて水管と斧足を引っ込めました。

3%の食塩水に入れたアサリが暗い蛍光灯の下で水管を出している様子。


ビデオライトを急に照射すると驚いて水管を引っ込めたアサリ。全く同じアングルで撮影後、露出を補正。



3%の食塩水に入れたアサリが暗い蛍光灯の下で水管を出している様子。 ↓

ビデオライトを急に照射すると驚いて水管を引っ込めたアサリ。全く同じアングルで撮影後、露出を補正。

この事でアサリは明るさを認識できる事は解りましたが、巻貝とは違って顔が無いアサリの眼はいったい何処に付いているのでしょうか。


ある推理


砂抜き中のアサリ。左の太いほうが入水管。右が出水管。

アサリの水管の先端を見ると、他の体の部分が白色でツルッとしているのに比べて、触手や黒点など、にぎやかなのが解ります。

このあたりに「秘密があるのではないか」との推理を立てて見ました。

ザルガイ科の貝では水管の触手で光を感じる事が出来るそうですので、アサリの場合はどうかと試してみる事にしたのです。

潮干狩りで干潟の海水が残っている場所を見るとアサリが水管を砂の上に出している事があります。
その状態を家の中で再現して見ました。

これが「アサリの目」と呼ばれる水管の穴です。


アサリの目。左の大きい方が入水管。右の小さい方が出水管。

そして、砂に潜って水管だけが砂の上に見えるアサリに、急に強い光を当てて見ました。すると、やはり即座に反応してすぐに砂の下に水管を引っ込めました。

水管を砂の下に隠す時、二つの目が閉じる様に見えますが、その姿から「アサリの目」と呼ばれているだけでは無く、ある程度実際に光を感じている事がわかります。

「なるほど、やはり推理どおり水管の先端で光を感じているのだ」 という結論に、

ちょっと待った!


実験2

結論を出すのは「少し早いのでは」 という直感がひらめいたのと暇だったので、もう少し実験を続ける事にしました。

水管の先端で光を感じているらしいという事は解りましたので、先端の触手と黒い部分を切ってしまったアサリはどうなるか実験してみました。

アサリは何かに驚いたときに水管を殻に挟んでしまい先端を切ることがあります。先端が切れてもアサリは生きるために水管を出しています。その様な先端の触手と黒点を失ったアサリは光を感じることが出来るのでしょうか。そこで、比較のため、ちょっと可哀想ですが、水管の先端をハサミで切ったアサリと切っていないアサリが水管を出しているところに急激に強い光を当ててみました。


上段が水管の先を切っていないアサリ。下段が先端の触手と黒点を切ったアサリ。薄暗い状態で撮影。露出補正。


急に強い光を当てた直後あわてて水管を引っ込めたアサリ。全く同じアングルで撮影後、露出を補正

上段が水管の先端を切っていない普通のアサリ。下段が水管の先端の触手と黒点を切り取ったアサリで決定的な差が出れば話は簡単だったのですが、どちらも光に即座に反応して水管を引っ込めました。
デエェー!


とりあえずの結論

これが眼だという場所は見つかりませんでした。

こんな実験、誰かやっていないんでしょうかね??