波に乗ってやってくるので満潮時でも見る事が出来ます。
砂に潜るのを見るのも楽しいのですが、波が来る一瞬前に一斉に砂から頭を出す光景は見ものです。頭を出した途端、波が来て波にもまれながら岸に寄って来ます。そして、足を砂にからめて引く波に耐え波が去ると直ぐに砂に潜ります。
何故、波が来る一瞬前に合図をしたように頭を出すのか不思議です。
この一斉顔出しを見れるのは干潮から上げ6分位までが最適です。満潮に近くなると、どうしても岸に近くなり砂浜の傾斜が付くので波の返しが早くタイミングが合いません。
貝殻の模様はいくつかのパターンがありますが白いものが多く次に茶色のものが混じります。後は緑っぽいものが少し位です。
貝の背側から見ると靭帯が丸いボタンのように見えるのが可愛らしいです。心霊写真の様にも見える。眉毛があって、目がつり上がっていて、赤い鼻に縦に長い口。ヒゲも生えている。小さい子は夜一人で見ると怖いかも。ワッ!
殻を開けると蝶の様でもあり花びらの様でもあります。これが「フジノハナガイ」の名の由来?
多分、波にもまれる貝がフジノハナが散る様子と似ていたので付いたのだと思います。
小さな薄い殻ですが蝶番は意外としっかりしています。すぐに離れてしまいそうですが中々離れません。
犯人は誰?
フジノハナガイにも穴の開いた貝殻があります。二枚貝に穴を開ける巻貝は多いのでどこにいても二枚貝は危険が一杯。頑張って穴を開けたのでしょうが、身は小さいので期待はずれだったかも知れません。
フジノハナガイが砂にすばやく潜る様子。
すべて、早回しではありません。フジノハナガイが砂に潜る様子
フジノハナガイが砂に潜る様子
波に乗って岸に寄ってきたフジノハナガイが砂に斧足を差し込んで残り、次の波が来る前にあっという間に砂に潜ります
フジノハナガイを試食
とても可愛いフジノハナガイですが興味があったので食べてみる事にしました。
まず砂抜きの前に塩水で表面の砂はよく洗い落としておきます。その後、3時間ほど海水につけておきました。
砂浜を潜ったり出たりしているので想像はしていましたが小さな体からものすごい砂を出します。食べる人はいないと思いますが砂抜きに失敗するとどうにもなりません。
砂を抜いた後、水道水で良く表面を洗います。
水から煮ると貝が小さいだけに煮えすぎてしまうと思い沸騰した状態でフジノハナガイを入れました。
一人前にアクも出て小さくても貝です。鍋から立ち上る香りもとても良く「う、うまそう」。
貝殻が小さかったので殻はすぐ開くと思いましたが中々開きません。
結局、殻が全部開くまでしっかり煮込んでしまいました。
そして、お味噌をほんの少量入れました。今回はフジノハナガイの試食ですので他に調味料などはまったく使っていません。
さて、貝殻が開いたところでお碗に入れて試食。
味と香りはハッキリいって悪くないです。非常にあっさりした品の良い味で貝の香りも充分、旨みも充分出ています。意外なほど美味しいですが、問題は貝の大きさです。
何しろシジミが巨大に見えるほどの小ささですので、箸は先のとがったものを使用。
獲ったからには試食とはいえ完食しなければ。
身は捨てて汁だけなんて失礼なマネは出来ません。
でも取っても取っても終わらないんです。全国箸使い王選手権状態になってしまい、見かねた超人妻参戦。「身が入っているか入っていないか解らないじゃない!」とメガネを取り出して、つまんでは食べ、食べてはつまみ、終に25分後に一杯のお味噌汁を完食。
達成感のわりには2人とも全然満腹感が無く、食べた以上のエネルギーを使った感じです。
まあ、結論として食べるのを無理には止めませんがあまりに実用的ではないです。
小さい貝ですので実際に見たら普通の人は食べる気はしないと思います。
砂浜で貝が遊ぶのをウォッチングするだけで十分楽しいでしょう。
ところで、フジノハナガイを食べてから体がちょっとだるいんですがこれって気のせい??
2時間ほど寝て元気になりました。超人妻は元気ですのでフジノハナと波打ち際で遊んで疲れただけかも・・・。でもあの人、本物の超人だし・・・
後日、フジノハナガイは絶滅危惧種であることが判明しました。ヒェー、食べてごめんなさい。
私がルポした場所の他、全国数箇所しか生息していないそうです。