「フルサト」by ハイフェッツ


第105章 ママさん、南足柄へようこそ!


(2009年2月28日)

 皆さん、南足柄市ってご存知ですか?

 南足柄市は神奈川県の西部にあり、小田原市の西隣になります。小さい小さい地方都市でありますが、歴史はとても古く、足柄という地名が「古事記」や「日本書紀」に出てまいります。現在「足柄」と名のつく地名は南足柄市の他に、足柄上郡と足柄下郡箱根町などがありますが、小田原市は昔は足柄市という名前でした。また、静岡との県境には「足柄山」というこんもりとした山があります。 つまり、神奈川県西部一体の広い地域が「足柄村」と呼ばれていたのです。

 また、昔話でおなじみの「金太郎」のフルサトとしても有名です。足柄金太郎祭りは毎年盛況です。そうそう、金太郎が熊と相撲を取ったのが、前述の「足柄山」です。というわけで、南足柄市の中心駅である大雄山駅の前には、熊にまたがった大きな金太郎の銅像があります。

 こんな南足柄市に、2008年9月、夏川りみさんがやってきました!

 私の住む町は小田原市なのですが、実は連れ合いの実家が南足柄市です。ですので、本当に地元なので、これは何としても聴きに行かねば!との想いが募りました。

 ◇  ◇  ◇  ◇

 当日の朝、小田原駅まで、あるファンの方をお迎えに上がりました。彼女は小さな2人のお子さんと中学生の姪の4人で来られました。家族で夏川りみさんを応援していらっしゃる他県の方です。今回は折角の遠征ですので、観光もかねて楽しく思い出を作ろうね、というのが趣旨でした。

 初対面でしたので緊張しましたが、徐々に解きほぐれて、子供達は元気に走り回ります。

 小田原といいましても、観光するところといえば小田原城くらいです。小田原城公園には大きな象が観光客を楽しませてくれるのですが、それくらいです。天守閣の中は暗く、小さなお子様には面白みは感じられないかもしれません。というより、そのママさんも楽しめないかも。ということで、「神奈川県立生命の星・地球博物館」というところにご案内しました。

 そこは自然史博物館といって良いような科学系の博物館であり、地球誕生から古代・近代にいたる様々な化石や標本、文献などを閲覧することができます。実物大サイズの恐竜やマンモスなどの古代生物の化石のレプリカが圧巻でした。背丈が3mほどあろうかという大きな熊さんの剥製もありました。こんな熊さんとお相撲をして、金太郎は勝ったんですね!その前で記念撮影をしました。子供達は喜んでくれたでしょうか?

 昆虫の標本もありました。私の大好きなアゲハチョウやモルフォチョウはいいとして、ゴキブリの標本には驚きました。種類の多さもですが、そのグロテスクな容姿には、ママさんや姪っ子さんは参ったのではないでしょうか(笑)?

 お昼から、「かまぼこ博物館」に案内いたしました。そう、小田原近海は良質の白身魚が豊富に取れることで有名で、「しんじょ」「かまぼこ」は昔からの名物なのです。一度小田原で、その蒲鉾が乗せられたおそばを食べてみてください。一味違いますよ。

 この博物館では、様々な蒲鉾の展示や歴史、作り方の説明などが映像で見ることができますし、大きなガラスの壁の向こうでは、実際に工房で作っているところを眺めることができる仕組みになっています。しかし、ここでの魅力は何と言っても、「蒲鉾・ちくわ作りの体験ができる!」ということでしょう!

 みなで手を消毒して、エプロンを身に着け、さあ、はじめ!

 解説のお姉さんの言うとおりに、まず「ちくわ」作り。結構難しい。魚のすり身を、細い竹の棒にくるんでいくのですが、これがなかなか一筋縄ではいかない。お子さん達が作るのを手伝いながら、周囲のほかの観光客のを眺めていたのですが、皆一様に楽しそう。一心不乱・無我夢中の人もいれば、大笑いしながら格闘している人もいます。何とか出来上がったちくわは、係りの人が焼いてくれます。

 ついで、「蒲鉾」。ちくわで少し慣れてきたので、今度は上手く作れるかな? 木の板に形よくすり身を乗せていくのですが、プロのようには上手くいきませんね。当たり前ですが・・。何回か表面をへらで慣らしていくと、きれいに艶が出ます。こうなると舌触りがよく、きれいに蒸しあがるのだそうです。こちらも、係りの人が蒸し器へ入れてくれます。

 ちくわはその場で食べて帰りました。お子様達には、ちょうど良いおやつになったかな?蒲鉾は宅配便で、ご自宅にお届け~。蒲鉾作りの間は、夏川りみさんのことは頭から完全に消えて、夢中になっていましたね。

 さて、いよいよコンサート会場へ!

 いつものように、張りのある力強く美しい声に魅了されます。南足柄ゆかりの金太郎に関するコメントは聞けませんでしたが、夏川さんもお昼は蒲鉾食べたのかな?などと、ふと心をよぎりましたが、あっという間にラストソング。今日の日はさようなら・・・ですが、りみ友のママさんご家族との一期一会。とても思い出に残る一日でした。

フルサト エッセイ 2009


夏川りみさんと遊ぼう