元ライフガードに聞く



夏季に沖で潮干狩りをしようとすると注意され沖に出してくれない海の公園のライフガード。
潮干狩りの天敵とも思えたのだがひょんな事から
元ライフガードの方にインタビューする機会を得ました。
インタビューしてみると潮干狩りの天敵の筈だったのだが
好青年の説明に潮干狩り超人はすっかり納得してしまった。

今日はインタビュー快く(多分)
ご承諾頂きありがとうございました。
というか、捕まえたので
話を聞き終わるまで開放しないぞ
という潮干狩り超人の勢いに
困惑気味の高木俊輔さん。
元海の公園のライフガード 高木俊輔さんへのインタビュー


(潮干狩り超人) 私は海の公園で監視している方達はライフセーバーと思っていたのですが
正式にはライフガードなんですね。
ところでライフガードはライフセーバーとはどう違うのですか。


(高木) ライフセーバーが実際に起きた事故の救助を行うのに対して
ライフガードは事故を未然に防ぐのを究極の目的としています。
事故を未然に防ぎ事故が起こらない事こそ我々の目的なのです。


潮干狩り超人) どういう方がやっているのですか。

(高木) 大学のライフセービングクラブのメンバーが主体で
大学だけではなくYMCAなどの専門学校の生徒も含まれています。
(管理会社)臨海サービスからライフガードとして夏季のみ、
公園内の海の事故を防ぐため監視を頼まれています。
(管理会社)臨海サービスとは(財)横浜市臨海環境保全事業団から
公園の管理等を委託されている会社です。元地元の漁師さんが多いようです。


潮干狩り超人) 夏というと夏休みですよね。7月21日から8月30日?

(高木) 7月1日~8月31日までです。

潮干狩り超人) ライフガードをやっている時に事故に遭遇しましたか。

(高木) 自分がやっている時は死亡事故は無かったのですが、先輩が死亡事故を経験しています。
海の公園は遠浅なので親が油断して子供だけが海中で遊び意外と危険な事が多いのです。
親は安心して浜で寝ているが海の公園は人口海岸で毎年、海岸の形状が変わり徐々に深くなるというよりは沖に行くと又浅くなったりして不規則です。
30cm位の深みと浅瀬があるので小さい子が沖に出て潮が満ちると帰れなくなることもある。
潮が引いているうちにその年の海岸の状況を把握していないと「そこは危ない」等と指摘できないので干潮時に丹念に海底の状況を調べています。


(潮干狩り超人) なるほど。海の形状は私も教えて欲しい位の話なのですが、
ところで溺れているのとふざけているのはどうして見分けられますか。


(高木) 双眼鏡で監視していても溺れている場合は顔色と必死な目で殆ど判ります。
それに別動隊が常に2人一組で海中を監視して歩いています。
トランシーバーを持って本部と連絡する役目とレスキューチューブ(赤い色の浮き輪で普段はまっすぐの棒状だが救助する際は救助する人の体にクルリと巻きつけてフックで止めると浮きわになる)で実際に救助する人との2人1組で巡回しています。
近くですともっとはっきり判ります。




レスキューチューブ

(潮干狩り超人) 皆さん視力は良いのでしょうね。

(高木) 目が悪い人もコンタクトをしているので皆矯正視力1.0はある筈です。
コンタクトは海で失っても良いように今は使い捨てのコンタクトが主流です。


(潮干狩り超人) 海に落ちたら絶対見つからないですからね。さて変な質問ですが皆さん泳ぎは達者ですよね。

(高木) 全員が泳げるという訳ではありません。あまり得意でない人もいます。

(潮干狩り超人) そうなんですか。泳げないのにライフガード??

(高木) 泳げないという訳ではありません。最初はという事です。
最初泳げない人も2人一組のパトロールのトランシーバー役をやったりしている内に
だんだん泳ぎも上手になって夏の終わりごろには泳げるようになります。
レスキューチューブを使って実際に人を救助するにはチューブテストで合格することが必要で日本赤十字社がやっている
水上安全法。救急法。蘇生法。(現在は後の2つは1つにまとまっている)
のテストに合格する必要があります。


(潮干狩り超人) 高木さんの体は私と違って胸板も肩幅も立派なんですが肺活量とか背筋力など、
どの位あるのでしょうか。


(高木) 肺活量は忘れましたが、ライフガードをやっていた当時は背筋力は200Kg以上ありました。

(潮干狩り超人) 私は計ったこと無いので良く判らないのですがかなりですね?!?
すみません。判らないのに質問して。
ところで、実は夏の潮干狩りにはライフガードの方は天敵なんですよ。
大きいアサリは皆ロープの外なのですが中々外に出してくれないもので。


(高木) 僕ら天敵なんですか。




(潮干狩り超人) 
・・・・・・
それでは潮干狩りをやる側から潮干狩りに関連した質問をさせてください。
潮干狩りの知識と言うかライフガードの方の、まあ高木さん個人のでしょうか
潮干狩りに対する理解度をちょっとだけお聞きしたいと思います。
まず、アサリと潮吹きの見分けはつきますか。


(高木) アサリとバカガイは判りますが、シオフキは知らないですね。
マテガイとは違いますよね。 マテガイって美味しいですね。


(潮干狩り超人) アサリとシオフキは大きさが似ていますがアサリは表面がザラザラしており
シオフキはツルツルですので見分けがつきます。
変な質問ばかりですが、バカガイの砂の抜き方を知っていますか。


(高木) アサリは食べるけどバカガイは食べません。ですから砂の抜き方も知りません。

(潮干狩り超人) そうですか。バカガイは美味しいですよ。
それではアサリが海の浄化に驚くほど役立っているのをご存知ですか。


(高木) 聞いたことがあります。
海の公園が横浜の真中にあるのに意外と綺麗で泳げるのはアサリのおかげだったのですね。


(潮干狩り超人) そのとおりです。アサリ1つで水温25℃で1時間に1リットルの海水を浄化すると言われています。
ライフガードをされていて危機一髪の怖い体験というような事はありましたか。


(高木) やはり海の公園を過信して親が小さな子供を子供だけで海であそばせている事です。
何度もひやりとしました。


(潮干狩り超人) 夏とはいっても色々な天候の日がありますよね。雨の日でもやるのですか?

(高木) たとえ、お客さんが0でもライフガードは監視しています。
いつお客さんが来るかわからないし。




(潮干狩り超人) 
ところで潮干狩り客が夏にもいるでしょうね。


(高木) いますよ。海水浴と兼ねた潮干狩り。
小さな熊手は特に注意しませんが大きなカイマキは強く何度も注意します。

(潮干狩り超人) あれは潮干狩りとは違って漁ですので私の思う潮干狩りではないのです。
一般の小さな熊手を持った潮干狩り客をどう思いますか。


(高木) 特に何とも思わないですが。

(潮干狩り超人) 泳いでいる人と熊手を振り回す人間が両方いたら危なくないですか?

(高木) 泳ぐ人と潮干狩りをする人は全然やる場所が違いますから特に危険はないです。
かたや海中で、潮干狩りは砂浜でしゃがんでやっていますので問題はありません。
ただ、先ほどのカイマキはちょうど泳ぐ場所でやるのでしょっちゅう止めるよう注意します。


(潮干狩り超人) 困りますね。それでは一般の小さな熊手の潮干狩り客は
夏でもまったく問題なく潮干狩りをやってもいい訳ですね。獲れればの話ですが。


(高木) ただ小さな熊手を海中に忘れる人がいます。
置き場所が判らなくなったのかも知れませんが 波で歯が上を向いたりして以外に危険です。
熊手だけは忘れないように。


(潮干狩り超人) 忍者熊手の歯はとがっていますので危ないですね。
ところで高木さんは沖のロープを越えてアサリを狙う潮干狩り客に注意したことがありますか。


(高木)何度もあります。

(潮干狩り超人) 回数は多いですか。

(高木) 潮時によります。
大潮で潮が引く日はロープをまたげば沖に出れるようになったりするので
海岸の両脇の浅瀬でアサリを獲りにロープをまたぐ人が後をたちません。
潮時に合わせてロープを移動できれば良いのですが
毎日2回1キロの長さのロープを上げたり下げたりは不可能ですから。
ロープの外は遊泳区域外となり、モーターボート、ヨット、ジェットスキー、ウィンドサーフィン等が自由に遊べる場所なので事故の恐れがあります。

(潮干狩り超人) 頭だけ出しているときに上をと思うと怖いですね。

(高木) 小さな熊手の人は大体言うことを聞いてくれますが
大きなカイマキの人は中々言うことを聞かない人が多いです。


(潮干狩り超人) あの方達は深い所でないと威力が発揮出来ないので行きたがるのでしょうね。
大体、禁止品なのですがね。
潮干狩りですが、たとえば干潮時には潮干狩りを。満潮時には泳ぎをと言う風に 分けるとしたらどう思いますか。 実は私の少年時代、山口ではそのように遊んでいたのですが。

(高木) 潮干狩りをやる人の場所は泳げるような深さではないので時間で区切る必要は無いのではありませんか。いくら潮が引いても泳ぎたい人はその先で泳ぐわけですから。

(潮干狩り超人) そりゃそうですよね。ところで潮干狩りは好きですか。

(高木) やったことはありますが特に好きと言うわけではありません。
沖でもぐってアサリを獲るトレーニングは良くやります。


(潮干狩り超人) 干潟ではないのでそれはアサリ獲りですね。
最後に夏季の潮干狩り客に一言お願い出来ますか。


(高木) 熊手を海中に忘れないことと一箇所であまり大きな穴を掘らないことをお願いします。
潮干狩り客は大きな穴を掘ることがあるので、潮が満ちた時に小さい子がその穴で足をすくわれて溺れそうになることが良くあります。もっとも、大きな穴を掘るのは潮干狩り客だけではないのですが。


(潮干狩り超人) 高木さん。長時間どうもありがとうございました。
2001年5月13日(日) 大安吉日



超人長女が結婚しそのご主人の友人が海の公園の元ライフガードだと判明。
おまけに結婚式の受付をやると聞きインタビューを決行。
二次会のビンゴで何やら賞品を当てた高木俊輔さん。
その、挨拶で新婦のお父さんに1時間以上潮干狩りのインタビューで捕まってしまったとぼやいていたらしい。
しかし、インタビューの結果、ライフガードは潮干狩りの天敵などではなく、
海水浴と潮干狩りは問題なく共存出来る事が判明。
つまり、海水浴はある程度の水深が必要な遊びであり、
潮干狩りはせいぜい波打ち際までで完全にテリトリーが分かれていた。
水深が必要で遊泳区域で危険な禁止品カイマキを振り回すカイマキマンこそが
海水浴客にもライフガードにもご迷惑をかけている困ったチャンであった。

そして、7月と8月に毎日ライフガードが見張っているおかげで、カイマキマンが自由に活動出来ない為、ロープが外される9月の始めの大潮にはアサリの大漁間違いなし。どうぞ、お出かけください。