フランスにも江の島出現の巻


700年頃の三面記事

江の島マニアック
山伏の開祖 役小角(えんのおづぬ)が始めて
江の島島内に入るの知らせ。
左の写真は江の島

江の島マニアック
その頃、海のはるか向こうフランスではノルマンディーのサン・マロ湾にあるトンブ山が、潮の浸食により満潮時には完全に離れ島になってしまった。
何故そんな事になってしまったのか。
実は、ここノルマンディーは干満差の大きい所として名高く満潮と干潮の平均干満差が8.5mもあり、大潮には最大13.5mになるほど干満の差が激しい所なのです。
20世紀になって潮汐発電所が作られたランスも近い。

江の島マニアック
大潮の干潮時には18km沖合いまで一面砂浜になるというから、次の満潮になる時までの潮の動きは恐ろしいほど早い。
こんな所で親子でのんきに潮干狩りでもしていたらアッという間に流されてしまう。
実際、かつて埋め立て道路が無い時に巡礼者が何人も流されたそうだ。

2004年2月5日イギリスのモーカム湾で潮干狩りをしていた中国人のグループが18人以上、満ちてきた潮に流され亡くなったという大ニュース。ここも干満差が大きいので有名な海岸だが中国人達は自国の、のったりした潮しか知らなかったものと思われます。日本人も日本を懐かしがって、のん気に潮干狩りなどしていたら危ない話です。

この干満による砂地の侵食で最後までつながっていた砂浜が満潮時にはついに水没してしまうことになった。
しかし、干潮時には歩いて渡れ満潮時には島になる様子は人々の信仰心を呼び起こすらしい。

江の島マニアック
8世紀に、司教オベールが聖天使ミカエル(ミッシェル)のお告げを聞いたとかで(本当かいな?)聖堂の建設が始まり次々と増築されていきました。
それがフランスの江の島と言われる(私が言っているだけです)モン・サン・ミッシェルMont-St.Michel
ただ、もともと岩山ですから建物の上に建物を乗せるような建て方をしたため、今では島なのか要塞なのかわからないような形になっています。
この形に完成したのは16世記。気が長いのか石作りの強みか、木造なら2,30回は立て替えていますね。もともと海抜80mほどのトンブ山に聖堂の先端まで入れると倍の高さにもなるという建物を建てたのですからこれはもう人工島というべきか。
わが国にも知るひとぞ知る「沖の鳥島」なる人工改造島があるがここではあえて触れません。

モン・サン・ミッシェルは陸から離れていったが、そんな事しているうちに江の島の方は建保4年(1216)に島だったのが干潮時には反対に繋がる様になってしまった。こちらは侵食ではなく砂の堆積。
モン・サン・ミッシェルには聖堂と修道院があるけど江の島には江島神社と弁天様。
江の島の周囲は4kmだがモン・サン・ミッシェルは1km足らず。小さいですね。
江の島は400人も住んでるけど、モン・サン・ミッシェルは70人程。



江の島マニアック
江の島は龍神の島だけどモン・サン・ミッシェルの教会のてっぺんには龍退治の聖ミカエルの像があり「龍まで一緒かい」。そっちの名物が巨大オムレツならこちらはサザエ丼だよ。
江の島には岩屋洞窟があるけどモン・サン・ミッシェルはフランス革命当時牢獄として使われていた岩窟王だ。
島の中心にとんがった塔も立っているし。
本当に似てますね。フランス人が江の島を見て「Oh、日本のモン・サン・ミッシェルだ」と言っていました。これは本当です。
ただ江の島の龍は弁天様の柔肌を見せられてすっかり改心して江の島を守っているけど、フランスの龍は最後まで悪者みたいです。サタン、魔女のお国柄なので生まれながらの悪役に改心はないらしい。

そしてモン・サン・ミッシェルはモン・サン・ミッシェルとその湾として1979年、ユネスコ世界遺産に登録されました。ところが、観光地として沢山のお客さんに来てもらうために陸と島をつなげた一本の道路がどうもここの特徴の干満の差を無くしているらしいという指摘が起きてきました。
何しろこの驚異的な干満の差を含めての世界遺産ですからこれはまずいという事で、この埋め立て道路は撤去して橋になるようです。橋にはモノレールが乗るらしいのですが、私はロープ―ウェーの方がすぐ乗れて良いと思いますけどね。江の島みたいに最初から橋にしておけば問題起きなかったかもと思うのです。世界遺産に登録されては、江の島みたいに埋め立ても出来ないだろうし、もう島に駐車場は作れないかも知れません。

ちなみに我らが江の島も昭和35年(1960)神奈川県の名勝史跡に指定されました。ちょっと世界への宣伝が足りないのではないでしょうかネ。江の島も世界遺産に登録申請したいものです。

ちなみにモン・サン・ミッシェルは2014年ロープーウェイ方式ではなく橋梁によって陸地と結ばれる江の島方式で工事が完了しました。
島側の橋の一部は最満潮時には海面下に沈み、完全な島の景色になるよう潜水橋として設計されていま


潮汐発電(ちょうせきはつでん)

潮汐発電は潮の干満を利用した一種の水力発電。干満差の大きい湾口を堤防で仕切り、湾内側と湾外側の水位差を利用して水車タービンを回し発電。湾の内側と外側の双方からの流れで交互に発電出来る。
干満差が大きな場所でないと採算がとれない。
ちなみにフランスのランス潮汐発電所付近の潮位差は平均で8m。最大では13.5mにも及ぶ。
世界最大の潮位差がある場所はカナダのファンディ湾(Fundy)で最大で16mにもおよびアンナポリスAnnapolis潮汐発電所が実験用に造られている。
その他、ロシア、中国、韓国などでも潮汐発電所が建設されている。我国では干満差がこれほど大きい場所は無く、有明海でも採算ラインには届かない。そのため瀬戸内海など潮の流れが早い場所での潮力発電所が研究されている。

どちらも二酸化炭素も核廃棄物も出さないので無公害を売り物にしているがフランスのランス潮汐発電所の例では生態系が一変した報告があり、我国の有明海や長良川の堤防の例でも養殖海苔の色落ちや魚貝類の激減など、とても生態系を無視して無公害とは言い切れないのではないか。

ランス潮汐発電所 La Rance

1966年完成のフランスの北西部、ブルターニュ地方のランス川河口にある潮汐発電所。10メガワットの発電機24機がある総出力24万kWは、海洋エネルギーを利用した発電所として、世界最大規模。
写真は2001年10月のモン・サン・ミッシェル。尖塔は工事中です。