極近未来ジャーナル by Rei Kosugi


りみの歌さがし 北米の旅


極近未来ジャーナル 15
「極遠未来ジャーナル りみの歌さがし 北米の旅」
第2話 「此処にあるなにか」 
                            2008/10/05(Sat) 14:25
時:
‘08年 8月25日
所:
シアトル/アバディーン

登場人物:   
夏川りみ
歌手
新城 美子
(ミコ)  ビクターエイサーテイメント HR(人事)部
Rei Kosugi
ネイチャーガイド
設定:
広報誌の取材のため三人はアバディーンへの小旅行に出かけた。
早世した伝説のロックミュージシャン カート・コバーンが生まれたシアトルから二時間あまり、太平洋に向かう入り江の町である。
車中の会話
― ― ―
ミコ
「りみさんのアテンドのほかに会社からもう一つ仕事を渡されててね。」
りみ
「取材って言ってたよね、 『シアトルに何があるのか』とか」
ミコ
「わたし、今は色んなのを聴くけど、高校大学とロック一筋だったのよ。グランジロック。  ニルバーナやパールジャムね。
カート・コバーンが大好きだった。
だからとってもシアトルにきてみたかったの。 
アメリカの音楽シーン中でシアトルは特別な街なんです。」
Rei
「色んなミュージシャンがいましたからね。ジミー・ヘンドリックス
クインシージョーンズ、レイ・チャールズも」
ミコ
「ねえ、どうしてどのミュージシャンもシアトルに来ると
みんなフュージョンっぽくなっちゃうわけ?
ていうか、ジャンルなんかどうでもよくなっちゃうのか?
それが知りたいんですよ。」
Rei
「特にロックに関してね。なんて言うかなあ?     
震源地とか情報発信とかいうのじゃなくて…、 
音楽が醸成、蒸留されて別の何かが生まれるような
そんなムードはありますよね。たしかに」
りみ
「どうしてなんでしょう?」
― ― ―

話しているうちにアバディーンの街に入った

カート・コバーンは(多くのアメリカのミュージシャン達がそうであったように)複雑な家庭環境で育った。 ミコ達三人は、彼の生家、高校時代の家、初めてギターと出会い、そこで習った楽器店兼スタジオ、いつもギターを持って歌っていたという家の近くにある橋の下へ行ってみた。

もうほとんど海に近い川辺には一種独特な潮の香の空気と気なるい雰囲気が漂っている。
道からは全く見えないが、橋脚、橋桁はびっしりファンのメッセージで埋め尽くされている。まるで今なお彼を慕うファンの巡礼地だった。

お昼はオイスターとダンジョネスクラブを食べてシアトルへ戻った
夕方からはライブハウス巡り。


りみの歌さがし日記 :
アバディーンはなんかうらさびれた街だった。けど蟹も牡蠣も美味しかった。

シアトルへ戻ると「お~、都会へ出てきたー」って感じる。
今夜行ったジャズアレイっていうライブハウスはデカイ。
二階席もある三百人位入るお店だ。 最近ジェイク(島袋)さんがここで演奏したとか…  私も一発何か歌いたかったなあ。
シアトルにはこの大きさのライブハウスは他にもニ三ヵ所あり、小さいものまで数えると二十軒位あるというReiさんの話だ。」

ミコの業務報告メール :
「8/26/08 今日明日とシアトル周辺で広報誌の取材です。 いやあ、北西部って独特の雰囲気ですね。 空気も景色も街も人々も何もかも、これはミュージシャン達にインスパイアするものがありますね。 たしかに。 私なにか掴みかけてます。いい記事が書けそうな気がします。 二人とも元気で、りみさんはそろそろ歌いたくてウズウズしてきたようですよ。 Miko Shinjo」
Rei’s Diary
「りみさんって動物を見つけるのが早い。
今日見たのはカワウソ、エルク、白頭ワシ 真っ先にあの人が見つけた。
どんな目してんだ。 あの人に双眼鏡はいらん。」 

■極近未来ジャーナル by Rei Kosugi


夏川りみさんと遊ぼう