極近未来ジャーナル by Rei Kosugi
りみの歌さがし 北米の旅
極近未来ジャーナル 14
「極遠未来ジャーナル りみの歌さがし 北米の旅」
2008/09/20(Sat) 01:31
- 第一話
- エピローグ 「間抜けたmeet」
- 時:
- '08年 8月24日
- 所:
- シアトル
- 夏川りみ
- 歌手
- 新城 美子
- ビクターエイサーテイメント HR(人事)部
- 金城 正人
- 在シアトル日本領事館員(水産庁より出向)
- Rei Kosugi
- ネイチャーガイド (住所不定)
その他
十日ほど前、北カリフォルニアの山中に居たRei Kosugiにシアトルから無線連絡があった。
「Reiさん? …領事館のキンジョウで… …来ることになり… (ザザザ~) …お願いしま…」
「金城さん? え? 何、何が来る?」
「(ザ~ ) …24日に空港へ 日本からビク… のふたり」
「聞こえないよ。あさってには下りるからメールしておいて」
山から下りると携帯電話に短いmessageが入っていた。
“Pls take care 2clients next 2weeks. see Ms.Shinjo and Ms.Kaneko @SEA arv by UA123 on Aug. 24th" Kinjo/CGJ Seattle
金城氏に電話をすると「24日の経由便で日本から二人着くので空港へ行って欲しい。 僕も行くのでそこで詳しい話をしましょう。」
それっきり、下界の野暮用に忙殺されてその当日の朝を迎えた。
当日到着ロビーで待っているReiに金城から電話がはいる。
「渋滞で遅れそうです。Reiさん、すまないけどゲートまで入って出迎えてください。 日本人のオバサン二人組だからすぐわかるよ。 僕は到着ロビーで会えると思う」
「え~。 しょうがないねぇ ちゃんと会えるといいけど」
はぁ日本人のオバサン二人… 小さく溜息をついてからRei Kosugiは到着ゲートへ向かった。
即席でファイルの裏にマジックで「シンジョウ様、カネコ様」と書いて胸の前に掲げて立つ。
やがてボーイング737機が着きゾロゾロと乗客がゲートを出てきた。その中にそれらしき二人は見当たらない。列の最後の最後に、大事そうに何かを抱えて小柄な女性の二人が出てくる。
(あ、きっとあれだ。)先の一人が
「あ~ こんにちは 新城です。」
といいつつ近づいてきたがRei Kosugiは後ろのもう一人に目が釘付けになってしまっていた。
(あのケースは三線だ。あの大きな目、ああ、あの人はカネコじゃない、カ…)
「カネクです。こんにちは よろしくお願いします。」
思いのほか太い声でその人は言った。
目の前で微笑む初対面の二人に向かってRei Kosugiは周囲の人がふり返るほどの声を出してしまった。
「うわあ~」
りみの歌さがし日記 :
「暑い東京からシアトルに着いた。なんて爽やか。 涼しいくらい。 それにしても会社(VEI)から頼まれた今回の仕事って何か大変そうだなあ。金城さんの話だと敵は相当難物らしい。ま、 いいか? なんくるないさ~。 それはそうとあのReiさんって何? 私のファンだって言ってたけど会ったとたん「うわあ~」だよ。 変だよ変。 あの人のガイドでこのアメリカ旅行は大丈夫? ま、これも なんくるないさ~。」
ミコの業務報告メール :
「8/24/08 予定通りSFO経由シアトル到着。りみさんも私も元気です。 夕方、領事公邸で金城さん、副領事、総領事と話をしました。『今回のミッションは大変でしょうが日米友好のトゲ抜きとしてなんとか皆さんの力を借りたい。領事館はできるかぎりのサポートをします。』とのことです。シアトルには二日滞在します。ところで今回のガイドのRei Kosugi氏なんですがちょっと危なそうですよ。最初の挨拶は「うわあ~」でした。 そのあとは一日中なんかうわの空でした。りみさんのファンだそうですけど。 先々問題がなければいいのですが。 英語と運転の腕は確かです。Miko Shinjo」
Rei's Diary
「迂闊だった。早く気づくべきだった。夢でもこんな風にはならないよ。これはきっと誰かの創作エッセイに違いない。
今日のブリーフィングの話だが、なかなか大変そうだ。 しかし金城さんの彼女はかわいい人だなあ、よし、二人のため日米の民間外交のため、りみさんのためにとにかく明日からは足を地につけてかからねば。」