極近未来ジャーナル by Rei Kosugi
写真集『りみ』ラストショット
極近未来ジャーナル 11
「写真集『りみ』ラストショット」(前編)
(2007/07/16(Mon) 16:41)
- 時:
- 出会いから約1年
- 所:
- 島営「ちゅら海浜公園」常設ステージ ライブ会場
登場人物:
- 歌手
- 夏川りみ
- 写真家
- 荒木経惟
- 助手
- I君
- 観客他
- 多数
設定:
写真集『りみ』の出版は、名乗り出た数社の中から 結局、○○未来ジャーナル社に決まった。 荒木の親友M氏が同社のマガジンにエッセイを連載していることからキャプションはM氏が書くことも同時に決まった。
実は、荒木はアルバムに発表する写真はすでに撮りおえていたし、選定もトリミングも終わっていた。 そして今夕のライブが始まる前I君に・・・・
- 荒木
- 「ヨースケ(I君の名:洋維)今日はお前が撮れ。
機材は○○○、28/150mm、UVフィルタ、フィルムは・・・
俺は今日はワイドで思いっきりりみちゃんに寄って撮る。
でもお前の撮るショットが欲しいんだ。」 - I君
- 「・・・」
- 荒木
- 「お前が狙うのは「風」だ。撮り方は任せる。判るな?」
- I君
- 「判ります。撮ってみます 風・・ 」
生まれ育った海と空を背に、皆と一緒に歌うことがりみは嬉しくて楽しくてしょうがなかった。 そんな今日のりみのまわりを荒木はカメラを構え舞うように撮っていった。
I君も又そんな二人をたえず射界に入れ、流れるようなフットワークで撮る。撮り方によどみがなかった。
ステージからギャラリーへ心地よい浜風が吹き渡る。ライブ会場はとっくに大きな一つの歌広場になっていてその真ん中に歌声と風を放つてぃだが輝いていた。
暮れなずむ海と空へラスト曲の歌声が流れる。
りみが歌い終えた時、あたかもはじめから定められたようなベストポジションでI君はカメラを構え、全く自然に二人の天才をフレームに捉えた。
それがこの写真集のラストショット、そしてI君の出世作となった。
彼も又天賦の才を授かったアーティストだったのである。
(続く)