極近未来ジャーナル by Rei Kosugi
3001年宇宙の旅
極近未来ジャーナル 13 番外編4の1
「極遠未来ジャーナル 3001年宇宙の旅」
2007/08/21(Tue) 03:40
- 時
- 3001年
- 所
- 地球から火星への軌道上 資源探査基地へのシャトル船内
- 船長
- R 東アジア出身
- 飛行士
- I 長期睡眠中
- ドクター
- M 基地駐在交代要員 北ヨーロッパ出身
- 地球
- I宇宙センター
設定 略
- R船長
- 「船内異常無し。軌道OK。そちらのモニタリングの確認願います。(I宇宙センター:確認しました)
以上にて定期交信完了。これよりリセスタイムに入ります」 - Mドクター
- 「お疲れさん。船長 どうだい一杯やらないかい?それともエクササイズの後にする?」
- 船長
- 「いいですね、飲りましょう。 ねえ NATSU なんか珍しい酒出してよ」
- NATSU
- 「では、20世紀の「1982」を24世紀モードで解凍しましょう」
ビバレイジ コンソール2に用意します。 Pi pi pi はいどうぞ」 - ドクター
- 「どれどれ、・・・・ おぉ いけるじゃないか」
- 船長
- 「ありがとうNATSU。 じゃあお酒に合ったイメージモードも頼むよ」
- NATSU
- 「・・・・」
(船内の照明がスーと落ち、船は163度回転 太陽に腹を向けて静止)
- 船長
- 「どうした?NATSU パワーセーブモードになったぞ」
(キャビンキャノピーが船外へ400%せり出す)
- ドクター
- 「なんだなんだ?・・・」
やがてヘッドレスト内臓スピーカーから99.997%リアルモードで歌声が
《 ♪ あてぃねらん願いや 夜に渡海 星ないさ…》
- 船長
- 「おぉ NATSU。 これは素晴らしい。4.7Dビジョンモードもいいが
見飽きてた星空がこんなにも美しい。 このお酒 そしてこの歌、
お前が歌っているのかい? 違うね
ねえ、これを歌っている人をビジョンモードに出してくれよ」 - NATSU
- 「いいえ。ビジョンは出せますが、 それよりスタッフコンソールK9を開けてください」
- ドクター
- 「コンソールK9ね。どれ、
おおっ こ、これは本物の本じゃないか!!」
(NATSU : リーディングライトをスーと明るくする)
- 船長
- 「ドクター。 それは写真集ですよ。東アジアの各家庭に一冊はある。
これはたしか「光」 4部作の第1部ですね。 へえ船に積んでたんだ」
(ドクター :写真を食入るように見つめる)
《 ♪ …満天ぬ星よ 満天ぬ星よ・・・ 》
- ドクター
- 「うわァァ~、 どうなっちゃうんだい? 自分が溶けてしまいそう。でもいい感じだ、
この人の光で自分が蒸散して星の間に散っていくような。
ああ、私はこの天体の中で生きている。嬉しいな。 お酒のせいかな、いや歌か、
でも本って、写真ってこんな対人パワーがあるのかい ねえ船長」 - 船長
- 「その写真集は特別です。その人も特別だって聞いています。21世紀の人で、数十年に一度あるかどうかという歌声の歌手ですが、その後のカオスの数世紀には人類は新人歌手どころじゃなかった。
あの第二の暗黒時代はずっとこの人の歌が人類の心を癒してきたんだって。」 - ドクター
- 「なんか爽快で、懐かしい気分だな。 NATSU ありがとう」
31世紀の宇宙空間を進む、写真集、光と澄んだ歌声