「フルサト」by ハイフェッツ
第109章 さる沖縄料理店との出会い~後編
(2009年4月15日)
はじめてお店を訪れた時のことを懐かしく思います。もう2年経ちました。ひと月に1回か2回、顔を出しています。お店のメニューはすべて食べました。お気に入りのものも多いです。どれが一番だとは、決してきめられませんが、ひとつあげるとすれば、ラフティでしょう。初めて訪れた時にたべたメニューでもあります。
ラフティは、言ってしまえば豚の角煮なのですが、普通のと少し違う。それは「皮つきバラ肉」を使っていることでしょうか。皮つきの肉はなかなか手に入りませんね。特別に取りよせてもらわないと、肉屋でも仕入れていないようです。皮と肉の間にゼラチン質のコラーゲンがあり、それが絶品です。皮のない普通のバラ肉ですと、その大事な大事なコラーゲンがなくなってしまいます。
やはり中華料理に同じく「東坡肉」という豚バラ煮込みがありますが、これも本物は「皮つき」です。横浜中華街でTVなどにも紹介されているような名店といわれるところでも、皮つきでない偽物を出すところがあります。そういうお店は、大抵は煮込み時間が足りず、しかも脂っぽい。残念です。
ママの作るラフティは、中華の「東坡肉」に比べて少し硬めですが、良質の豚肉と絶妙の味付けによって、私を喜ばせてくれますね。一口で笑顔になる、そんな感じです。
そんな美味しいラフティとも、お店とも、大好きなママさんとも、残念ながらお別れになります。
転勤を命ぜられました。単身赴任生活をついに解消できる喜び、新天地で待ち受ける仕事へのやりがいと希望、そして新しい仲間との出会いに、胸が高鳴ります。その一方で、これまでの仲間との別れが悲しく、また、不徳にもやり残してしまった仕事に対しては想いが募ります。
これも人生につきものの「出会いと別れ」でしょうね。その時その時を一生懸命に生きる。そのように歩んでいこう。そう自分に言い聞かせます。「天数」という言葉があります。人間の天命はあらかじめ天の意思によって定められている、ということらしい。そうかもしれませんね。・・・いやいや、ひょっとするとH部長につれない対応をしたための報復人事やも知れぬ。それはありえないか。
何はともあれ、嬉しいことに仲間が送別会を開いてくれることになりました。場所はもちろん、このお店。あの若手社員の送別会を開いたこのお店で、今度は私自身の送別会が開かれるは思ってもみませんでした。面白いものですね。
りみさん似のママさんには、いつかまた会いたいなと思います。お店にも行きたい。もちろん、外国に行くわけではないので、行く意思があれば行けるのですが、しばらくは新天地で汗を流そうと思います。それが天命だと思います。単身赴任で苦労をかけた家族にも温かく接したいし。よくよく考えてみますと、このお店は単身赴任中の「身近なフルサト」だったのかもしれません。心休まる場所ではありましたが、今度は本当のフルサト(家族)へ帰らないとね。
(さる沖縄料理店との出会い~完~)