「フルサト」by ハイフェッツ
第108章 さる沖縄料理店との出会い~中編
(2009年4月5日)
前章のつづきですね。
さて、宴会当日。ワイワイガヤガヤと店の前に集合しました。送別対象者の若手社員君は大喜びです。何といっても、フルサトの料理を久々に満喫できるということで。しかも沖縄では特別な時にしか食べないという「山羊」を出してくれるということで! まあ、山羊といっても山羊汁ではなく山羊刺身ですが。
一方、憎きH部長は言うに言えない顔です。沖縄料理店に会場を設定したときには、いつものように「馬鹿か」「そんな店はやめろ」などと反発しましたが、私の「却下します!変更の必要は認めません!」という木で鼻をくくったような態度に若干色をなしたようですが、要求は通させず。実はこのH部長のごり押しを退けたというのは、過去の幹事の歴史では例がなく「快挙」に匹敵するとの評価を後ほどいただきました。
さて、お店に入ると「いらっしゃ~い!お待ちしておりました~!」というJちゃんとママの元気で明るい声が出迎えてくれました。実は、この日の宴会までの間に、私は3回この店に来ました。ママに会いたいし料理もとても気に入ったので。やはり1回限りの宴会かもしれませんが、人間関係ですからね。私も幹事として、本心ではH部長にも楽しんでもらいたいのですから。
料理はいつもに増して気合が入っている様子!厨房の調理師さんも腕を振るいますね~!ママは料理に忙しくてホールには出てこられませんでしたが、私が時折、厨房のほうに目をやって、たまに目が合うと微笑んでくれます。
さあ、「山羊刺し」です!
山羊汁を頼むつもりでしたが、やはりあまりに癖が強いので今回はやめました。香りが苦手な人がほかのお客さんにもいるかもしれないということで。しかし、この山羊刺しもまた、コクがあってとても美味でしたね。私は今までにいろいろな生肉を食べました。やはり一番おいしかったのが、タルタルステーキでしたね、つまり馬の肉。同じような料理でも、韓国のユッケよりも好きかな。日本人は、歴史上どうしても牛肉信仰が強いです。私の生まれ育った大阪では食肉を「肉・豚・かしわ」と分類します。つまり「肉」といえば「牛肉」をさす、といった具合に。
では山羊はどうか?実に旨い!元気になりますしね。
ふとH部長のほうをみると、Jちゃんを捕まえて何やらニコヤカに話しています。全く抜け目ない、というか、そういうところはポイントを逃さないですね。油断も隙もない!H部長には、山羊刺しを一枚余分につけてあげよう。
そのH部長も、締めのソーキソバには唸ったようです。「こりゃ、うまいわ」と小さな声でつぶやいたのを私は聞き逃しませんでした。私は勝利しました!
おいしい料理にくつろぎやすい雰囲気も手伝って、みなさん満足な様子。幹事としては無難にこなせてホッとしているところです。お店は、8時からのライブ待ちのお客さんでごった返してきました。私どもも、いったん散会し、希望者のみライブを聴くこととし、2階へあがりました。沖縄の若手社員君はもちろん参加!むしろこっちが本番とばかりに。
三線の名手の登場に私は興奮を隠せませんでした。若手社員君はほかのお客さんと泡盛を介して盛り上がり、勝手にカチャーシーを始めます!もう、むちゃくちゃです。私も酔って、エイサー太鼓をたたいてしまいました。ママも厨房が一段落したようで、2階に上がってきて、相手してくれました。
三線のコンサートはいつ終わるともしれず、次から次へと曲を披露。素人さんを舞台に上げて「涙そうそう」をみんなで合唱するなど、楽しい時が流れていきます。島時間とはこういう感じか、いつまでも身を委ねていたい時間でした。
◇ ◇ ◇ ◇
その後、若手社員君は新天地で元気に働いているようです。働きすぎてやせちゃったようです。私は、これを機会にお店の常連となりました。料理も魅力ですが、ママも魅力。そう思うのは私だけではなく、ここを訪れる人のうち、かなりの人はママのファンのようです。一度、Jちゃんに注文がてら、「ママに『愛してるよ』って伝えて」と冗談で言いましたら、Jちゃんは「4番テーブル様からママに愛情いただきました~!」と店中に聞こえる大声で伝えてくれました。ママは「あら~!愛されちゃったわね~!」と切り返し。紅イモのてんぷらをサービスしてもらいました!
なんて楽しくやりながら、今でもちょくちょくお店に通っております。