第一段
むかしむかし鎌倉郡と久良岐郡との間に深沢(鎌倉市)という長い湖がありました。
この湖には頭が五つある恐ろしい龍が住んでいました。
この龍は鬼達を子分にして七百年もの間洪水・山崩れ・疫病・戦争など悪事の数々を続けてきました。
ある時、五頭龍は子供を食べてしまいました。
味をしめた龍は長者の子十六人を食べるなど人食いは止まりません。
村人達は皆よそに逃げ出しました。
世間ではこれを子死越(こしごえ)と呼びました。
八ヶ国の人々はいけにえとして若く美しい娘を差し出す事態になりました。
人々の悲しみは止まることがありません。
第二段(詞のみ)