江の島妖怪案内


江の島は古い歴史のある島だけに出るものも出るというウワサ。
しかし、弁財天と龍神が守っているせいか大物凶悪妖怪は出てきません。
せいぜい、人を化かす程度の可愛い小動物のみです。

今は猫とトンビだけですが江の島にはかつてはキツネ、タヌキ、ムジナが沢山住んでいたという。
一応3種の動物には悪さの順位がありやはり一番悪さをするのはキツネ。2番目がタヌキ。
ムジナ(アナグマ)は穴は掘るが変身、声色のたぐいは使わないので結構ペット並に可愛がられていたらしい。

江の島マニアック

1)東町のタヌキ

戸を叩いて名を呼ぶ声に外に出てみるとタヌキだったという。
鐘山から下りてきて尻尾で扉を叩く。声色のみで変身なし。

2)ゲコウミチのタヌキ

夜、下降道を東町に降りる途中草むらに白い麦藁帽子の人がポツンと一人。
声をかけると消える。声色無しの、変身のみ。

3)キツネつき

キツネは良く人にとりついたという。おとなしい人を狙ってとりつくらしい。
とりつかれると油物が好きになりロウソクを食べた人もいた。

4)化かすキツネ

西浦霊園の近くを通るとキツネに化かされた。キツネは煙草の臭いが嫌いで吸わない人も通る時は持って歩いたという。煙草を持たない子供が良く化かされた。
化かされると同じ個所をぐるぐる回って何時までも目的地に着かない。

5)化かすキツネ

松ヶ崎で漁師が化かされて松ヶ崎の木の枝につかまって「エンヤコゲ、エンヤコゲ」と船の櫓(ろ)を漕いでいた。

6)化かすキツネ

東の聖天島でも化かされた漁師がいた。



7)モウネン

大正3年(1913)10月のシケで江の島の対岸腰越の漁師50余名が遭難。
西浜にあったカツオ釣り用の餌のイワシのイケスをシケから守るためイケスに錘を付けようとして遭難。その後、毎日のように遺体が東浦の港に上がった。その後、モウネン(遭難者の霊)が西浦に現れるようになった。「水をくれ」と呼ばれた時、底の抜けたヒシャクで水をやらないと海に引きずり込まれる。

8)化け猫

シュクで猫がお茶をふるまってくれた。他には悪さはしない。(猫に似た人?)

9)大蛇

現在の江の島大師の場所にあった蓮華池に大蛇が住んでいた。
丸太のように太く角も出たという。(ペットのニシキヘビが逃げたのなら本当に怖い。)

ムジナ

ムジナはタヌキの方言で同じ動物です。地方によってはアナグマをムジナと呼ぶ事もありその場合はタヌキとムジナを区別していることになります。
タヌキはイヌ科でアナグマはイタチ科。科は違っても良く似ており暗闇や素早い動きで見分けるのは中々困難です。
アナグマは尻尾がタヌキより小さいので戸を叩いたり化けたり出来ないと考えられたのかも知れません。
江の島にはかつては両方とも生息していたそうでタヌキとアナグマを区別し、江の島でのムジナはアナグマを指していると考えられます。アナグマは長大な穴を掘るため江の島でかつて土葬していた時代には墓が荒らされるのを防ぐため墓石を横にして土の上にかぶせていたとの事です。

タヌキの特技

木登り

タヌキはイヌ科なのに木登りがとても上手。木に登って果物をとって食べます。

住居進入

アナグマの作った穴が大好き。人の作った穴で一休みが得意。自分で掘れよ。

タヌキ寝入り

これは悪気は無く、本当にビックリして仮死状態になっているらしい。

腹鼓

見たような事言って誰か本当に見たのでしょうか?お腹が痒かった?

参考文献:江の島の民俗 1995年藤沢市教育委員会刊