プレゼンテーションそのⅣ(4回)現代の作品


1972年12月16日(土)
東京文化会館小ホール
主催:音楽文化協議会




プログラム
1.サミエル・バーバー SAMUEL BARBAR  <ピアノソナタ Op.26>
   Ⅰ.アレグロ・エネジルコ  Ⅳ.アレグロ・コン・スピルト(フーガ)
ピアノ 播本三恵子
2.ドゥブラフコ・デトーニ DUBRAVKO DETONI
      ユーゴスラビア参加作品<オルフェのコルテージ>
ピアノ 横尾紀美子
3.藤田耕平 KOHEI FUJITA   <秋の歌>
ギター 北村賢
クラリネット 山本洋志
ピアノ 横尾紀美子
4.伊藤隆太  RYUTA ITO
詩 村上国春   <もうすぐ雪が降る>
詩 中野鈴子   <なんと美しい夕焼けだろう>
バリトン 友竹正則
ピアノ 川口耕平
6.松葉良   RYO MATSUBA
     <パルティータ> マックス・エルンストのコラージュに寄せて
           Ⅰ.前奏曲   Ⅱ.メヌエット風に
ヴァイオリン 畠中康子
ヴィオラ 梯 孝則
チェロ 沼田敏行
7.塚谷晃弘  AKIHIRO TSUKATANI <無伴奏チェロのための二章>
チェロ 岩崎洸
8.アティラ・ボザイ ATTILA BOZAY ハンガリー参加作品<変奏曲>
ピアノ 下村牧生
9.石井五郎 GORO ISHII
        作 唐十郎 “河原者の唄”より2曲
               <小春のうたう唄・お銀のうた>
バリトン 友竹正則
ピアノ 小保内恭子
10.アンジェイ・ドヴォルウォルスキ ANDREJ DOBOWOLSKI
      ポーランド参加作品<四重奏曲>
クラリネット 山本洋志
チェロ 小瀬川禎彦
トロンボーン 高藤重孝
ピアノ 下村牧生
指揮 山岸磨夫

SAMUEL BARBER サミエル・バーバー

 1910年生まれの現代アメリカの代表的作曲家である。比較的保守的ではあるが豊かな旋律性と多彩な語法の駆使によって内外に認められている。

ピアノソナタ(op.26)は極めて技巧的で精密な構成力と論理性をもつ代表作品の一つである。
 主要作品 弦楽のためのアダージョ。管弦楽のためのエッセイ。第1、第2、交響曲。カプリコーン協奏曲。 オペラ。ヴァネッサ。等
DUBRAVKO DETONl ドゥプラフコ・デトーニ

 1937年生まれのユーゴスラヴィアの作曲家。ザグレブ音楽院で作曲とピアノを学んだ後ワルシャワやパリでも学ぶ。室内楽のほか、具象音楽や電子音楽の作品も多く「」は各国で賞を得、その他の作品も国内国外ともに大きな注目を浴びている。
 これまで代表作 Phonomorphia には具象・電子音楽から各種の楽器で書かれていて、鋭い劇的変化と対称にとんでいるが、ピアノ曲「ARPA CRESCENDO」や今回の曲にもそうした彼のユニークさがみられる。
ATTILA BOZAY アティラ・ボザイ

 1939年生まれのハンガリーの作曲家。
 ブダペスト音楽院でファルカスに作曲を学ぶ、バルトークやコダーイの亜流に堕さず、セリエルの手法など現代的手法をとり入れながら施律的な音楽を者いて内外がら注目を浴び、その作品は1964年以来世界各国で演奏されている。とくに弦楽四重奏曲と歌曲集「叫び」は1968年ハンガリーのエルケル賞を獲得した。

 今日演奏される、ピアノ変奏曲は25才の作。ハンガリー民謡の特徴的なリズムによる主題を9つの変奏曲によって、せん細で表情ゆたかに表現している。
ANDRZEJ DOBROWOLSKl アンジェイ・トプロヴォルスキ

 1921年生まれのポーランドの作曲家。クラクフ音楽院でマラウスキに作曲と理論を学ぶ。現在ワルシャワ音楽院の教授で作曲と理論を教え、またポーランド作曲家同盟の書記長をつとめるなど作曲家としてだけでなく実際面でも活動している。
 代表作には「オーケストラのための音楽」のほか各種の室内楽があり、具象音楽や電子音楽も多く、鋭い表現をもつ前衛的な手法を用いている。

 今日演奏される作品はワルシャワの四重奏団「ワルシュタト・ムジイチニィ」のために1969年の春書かれたもので、同年10月ロッテルダムで初演された。
 Krabogapaとはこの四重奏団の4人の奏者の名前の頭文字をつなぎ合せたもの。7~8分の短い曲だが名楽器やピアノの弦をおさえてたたいたり特殊な奏法を用いて、噴出するような緊張した鋭い音をつくりだしている。

田村 一郎