カナダからの手紙


グースネック Gooseneck
あんたは一体 何者だ?



これがグースネックだっ!!

ぐにょぐにょ。不気味。
本当に旨いのでしょうか……。

スペインではかなり高価だという話。


超人サミーがグースネックを持ってきてくれました。
ぬぅ、不気味です。
かなり不気味です。

触感もぶにょぶにょして、か・な・り! 
気持ち悪いです。

しかーし、特派員たるもの、
ここで怖じ気づいてはいられません。
広島の淳さんから送られてきたメール
「塩ゆでにすると旨い」という一言を信じて食います。
食ってみせます。



鍋で湯を沸かしている間に塩水を張ってあったバケツからグースネックの固まりを取り出すと、
やつは「ブシュシュシュシュ」と音を発して、
まるでアサリ様達と同様の反応を示しました。

「えい!」
沸騰したお湯に塩と共に放り込みます。

おお? 
なるほど、甲殻類系のいい匂いがしてきました。
10分間ぐつぐつ煮ました。

さあ、いよいよ食べてみます。
て、どうやって食べればいいのかな? 
いいや「えい」、根本の部分にかぶりつきました。
すると! 

ぶちゅ-っ!! 
オレンジの体液がぶちゅう-って、
ブチュチュチュッて! 
いやーん!
びびりました。

ええい、もうどうにでもなれ。
がんがんかぶりつきます。

グースネックは上からも下からも
オレンジ色の体液をほとばしらせながら
ぼくを困らせてくれましたが、
堅い表皮の下の肉が、
引っ張ると形のまま
すっぽり抜けることを発見しました。

気持ちのよいくらい形のまますっぽり抜けます。



爪にはめてみました ガオーッ

見た目はえぐいですが、
縦にいっぱい繊維が重なった、
要するに貝柱のような感じでした。

身を裂いてみると、
内側にはオレンジ色のつぶつぶがいっぱい。
これは、卵巣(卵)? それとも他の内臓かな?
食べた感じはそうですね、
甲殻系といえばそうだし(やつはフジツボの一種なので、エビカニの仲間です)、
貝のようだと言えば、それもそうです。


指にはめて遊んだ後

水から出したときの反応と、
裂いた感じが貝柱っぽい印象を受けたのとで、
アサリみたいな味だなぁ、
なんて思いながら食べました。

この海域で獲れたグースネックは
スペインに大量に輸出されているのだそうです。

あちらではけっこう高価だという話ですけど。

アサリ様とグースネックを
一緒に海水につけておいたら、
グースネックのピンク色の幼体が
枝分かれしているところへ、
アサリ様がガブッて。
思わず、痛いっ。


いにしえの日本をしのんでハミングバードホステル特製「平城京ラーメン」を作ってみました。
え? なんでカナダなのに平城京なの?
それはね、ぐふ、ぐふふ……、「グースネックが入ってるからだよ」
いやーん!
(なぜグースネックで平城京かというと、ネット上に日本では食文化が平城京の時代から記録として残っているらしい、とあったからです)

餌をキャッチするための触手が出ているのが分かるでしょうか?
グースネックの合間に見える緑は千切りキャベツです。

グースネックは堅い表皮がまるでサンドペーパー(紙ヤスリ)のようなので
かぶりついたときにじゃりじゃりして、それで「なんか、
砂抜きしてないアサリみたい」という印象を受けたのでした。
舌にヤスリかけられたみたい「ひりひり」。
煮すぎると引っ張っても身が崩れてすっぽり抜けてくれず、
少々食べにくくなることが判明。

このレポートはHummingbird International Hostelのユキ様より頂いています。

2002/04/09 by Yuki