針付きコマセの巻


何とせこい釣り。

関東から始まり、今や全国的にはびこるセコイ釣り。
関東では、付けサビキとかオートメーションサビキとか呼んでいる。
つまり、枝針を沢山付けたハリスの先に重りを付けて
張った糸をアミエビの山に通すあれである。

もともとサビキをヒントに考案されたこの釣りは
小物に対しては絶対的な釣果を誇る。

サビキ釣り自体、マグロの延縄をヒントに漁師の使っていたサバ皮などの疑似餌と組み合わせて作られた。

針をやたら付ける釣りは投げ釣り等でも使われていて、
浜名湖の方では30本、40本つけた仕掛けを投げたりしているらしい。

しかし、この付けサビキの特徴は何といっても針と針の間隔が5~8cmと非常に短い事だ。
この間隔を広げると釣果はガクンと落ちる。

何故か?


魚は単独で1つだけある餌には非常に警戒心が強い。
しかし、ひとたびコマセなど撒こうものなら狂ったように
餌に食いつく。
これは、みんなで食べれば怖くないという種保存の原則かも知れない。
人が食べて大丈夫なら俺も食べようというやつだ。

このコマセに針が付いていたらを実現したのが、これなのだ。
異様に針の狭い間隔は、複数の餌を魚に認識させる。
おまけに、少し針から落ちた餌が回りを漂っている。
ここで、魚は警戒心がググッと薄らぐのである。

そして、ちょっと警戒心のある魚はちょっと噛んでみようかなという
行動に出る。
通常のウキ釣りでは、かじられただけで合わせなければ
針は吐き出されてしまう。



ところがこの釣りではエダスが1cm以下で魚は針を吐こうとして
少しでも動いた瞬間、
竿と重りでピンと張ったテグスの抵抗が
魚を向こう合わせで引っ掛けてしまう。
もちろん、針先は鋭くなければならぬ。
金針よりも普通の鋼鉄の針の方が良い。
重りもナス型の7号以上だと向こう合わせに最適。

向こう合わせで小物の釣れる
まったく力量の差が出ないつまらない釣り。
こんな釣りからは早く卒業しましょう。


かくしてがまかつだけが儲かるのであった。

by 遊外部長