楽しい釣りの敵


悪がき

娘と釣りをするのは楽しい。
大きくなったら行ってくれないので小さいいうちだけなのだが
何時の頃からだろう?
オヤジと行くのは嫌と言い出したのは。

我が娘は投げ釣りが上手かった。
堤防で小さな竿をブンッと投げて仕掛けは気持ちよく空に飛んでいく。
後ろになんかは飛びません。ちょっと右に行くことはあるかな。

近くのおじさんたちは「お譲ちゃん、上手だねえ」「すごいねえ」などと誉めてくれる。
娘は誉められてすっかり嬉しそうである。

オヤジも日ごろ誉められることもないのでちょっと得意だったかも。



その時、「女のくせに釣りしてるぞ」
ふと見ると、我が娘と同じくらい、小学校の低学年であろうか。悪がきの声。

大きい声ではなかった。ポツっと言った位だったのだが、
それから、娘は一緒に行ってくれなくなった。
その時、どうも釣り場に女性が居ないのに気が付いたらしいのだ。
そろそろ、お風呂にも一緒に入ってくれない時期にさしかかってもいた。
そういう時期だったのだ。


釣り場には本当に女性が少ない。
時々、無理やり親父に連れてこられた女の子や奥さん、
彼氏についてきた彼女に出くわすが大概はやたら退屈そうである。
たまに、楽しそうに釣っている女性がいたりすると
たいしたものだと思う。尊敬しますよ。
女性が釣りに出かける時は釣竿とわからないようにして出かける
苦労話を聞いた事もある。
男がお茶お花をやるより彼女達にはプレッシャーが
かかっているのかもしれない。

by 遊外部長