6 しじみのふしぎ



ヤマトシジミのオスとメス
 魚やエビ・カニを食べているとき、「これは卵があるのでメスですね」というようなことはよくあります。しじみの身をみてこれはメス、これはオスなどと考えて食べたことがある人は相当のしじみ通です。5月頃から9月までの産卵前後のヤマトシジミについて、払たちは明確に雌雄を区別できます。ヤマトシジミは卵が黒、精巣は白とはっきりしています。一度、その時期のしじみを食べたとき観察してみてください。そして、オスとメスでどちらの方がおいしいか試してみてください。

 実はすでに実験しています。ちょっとだけ結果をおみせしましょう。図11にオスとメス中のアミノ酸量を図示しました。オスはそう快な甘味のあるグリシンが多く、メスはアラニンやグルタミン酸がオスより多い特徴があるようです。


 これとは別に、大学の教員と女子学生のみなさんにオスとメスを試食してもらいました。すると、ほとんどの男性の教員はオスがおいしいといい、たいていの女性の教員はメスがおいしいといいました。また、女子学生は大部分がオスがおいしいという結果でした。年齢による味覚の差、男女の違いあるいは数値を統計的にまだ処理していないのではっきりと結論はいえませんが、どちらもおいしいのは確実です。みなさんはどちらだと思いますか?



冷凍するとどうなるか?
 しじみを多めに購入したり、何キロも頂いて処理に困ったことはありますか? 何も困ることはないのです。しじみは丈夫ですから、3日以内に食べるつもりであれは4℃の冷蔵室保存で大丈夫です(水に浸さない状態でラッピングして保存します)。もし、一週聞以上食べるつもりがなければ、ご近所におすそ分けするか冷凍保存してください。冷凍保存方法ですが、冷凍用ビニールバッグに1食分ずつ入れるとよいでしょう。保存期間はかなりもちますが、6ヶ月以内には食べるように心がけたいものです。味についても保証できます。

 図12に未冷凍のしじみと冷凍1ヶ月およぴ2ヶ月のしじみを使って調理した時のしじみ汁のアミノ酸含量を示しました。冷凍するとアミノ酸量が上昇していることがわかります。ちょっと注意ですが、汁にアミノ酸が多い分、しじみの身中のアミノ酸は少々減っています。


 さらに、冷凍すると死んでしまい殻が開かないのではという疑問がわきます。心配しないでください。もともと生きていた貝であれば加熱によりすべて殻は開さます。


どのしじみがおいしいか?
 図13にヤマトシジミ、セタシジミおよぴマシジミ三種の主要な遊離アミノ酸含量を示しました。季節的な変動も予想されることから、これら三種のしじみは同じ時期のものを選んで実験したものです。単純に結果を判断すると旨味アミノ酸や甘味アミノ酸が多いヤマトシジミが一番おいしくて、次いでセタシジミ、マシジミという判定になりますが、実際に官能検査をしてみないとわからないのが現実です。みなさんはどのしじみのファンですか? 食べ比べてみてください。