2.エキス成分の定義
魚介類などの生物の組織や食品を熱水または種々の溶媒(例えばエタノール,トリクロロ酢酸,過塩素酸など)で抽出すると様々な成分が溶出してくる。
これらからタンパク質,脂質,色素,ビタミンなどを除いた有機物をエキス成分と呼んでいる。したがって 遊離アミノ酸,ペプチド,核酸関連物質4級アンモニウム塩基,オピン類などの含窒素低分子化合物と有機酸,糖類などの無窒素低分子化合物がエキス成分に含まれる,ただし,味との関連で
グリコーゲンや無機イオンをエキス成分として扱っでいる例き 2)もあり,本文ではそれらの成分も含めてエキス成分ということとする。
なお,国内においてはエキス成分を食品化学的な見地から呈味成分としてとらえる傾向こあるが,それら成分は生理化学的にも重要な成分が多く,生物にとって相応の存在意義を有している。すなわち,水と電解質の生体内の調節などである。水と無機イオンの相互関休や無機イオンと有機物の相互関係は細胞内外の水を介して行われることを強調しておくとともに、タンパク質などの高分子成分も無機イオンや低分子成分が溶解している水中でその効力を発揮する。この点からも水溶性の全低分子成分こそが太来エキス成分と呼ばれるべきものであると認識する。