1.水産物としての二枚貝
二枚貝は分類上軟体動物・二枚貝綱に属する貝類で,わが国における有
用貝類の生産量の大部分を占める重要な水産動物(表1)である。
表1わが圏における主な食用二枚貝一覧
1)
分類群 |
標準和名 |
フネガイ類 |
アカガイ、サルボウガイ、サトウガイ、ハイガイ |
イガイ類 |
イガイ、ムラサキイガイ、エゾヒバリガイ |
イタヤガイ類 |
ホタテガイ、イタヤガイ、アカザラガイ、ヒオウギ |
イタボガキ類 |
マガキ、スミノエガキ、イワガキ、イタボガキ |
バカガイ類 |
ウバガイ、バカガイ、ミルクイガイ、シオフキガイ |
シジミ類 |
ヤマトシジミ、サタシジミ、マシジミ |
ハマグリ類 |
ハマグリ、チョウセンハマグリ、ウチムラサキガイ |
アサリ類 |
アサリ、ヒメアサリ、オキアサリ |
その他の二枚貝 |
タイラギ、トリガイ、ナミガイ、アゲマキガイ |
これら二枚貝をはじめ巻貝を含む貝頑のわが国の年間生産量は平成元年約85万トンで,水蓮物総生壷量の7%を占め,その内訳は海面漁業対象者82万トンに対して内水面漁業対象種3万トンである。
貝類のうちでも巻貝より二枚貝が圧倒的に多く,中でもホタテガイとカキ類で貝類総生定量の70%を越え,それに次いでアサリ類,シジミ類,フネガイ類が多い*。
なお,汽水や淡水こ生息するシジミ類以外はほとんどの貝類が海産の海面漁業対象種である。
このように食用二枚貝には多数の種類があり,真珠養殖用にも有用種があるほか,貝殻は養殖資材や工芸材料などにも利用され,産業的に極めて重要な生物物である。