クロダイ昔話


クロダイは何でもたべるのか。
クロダイ(チヌ)は悪食といわれる。
何でも食べる好き嫌いの無い魚。
しかし警戒心は強く中々お目にはかかれない。
ボラは海のお掃除屋さんなどと呼ばれ馬鹿にされているが
釣り人にありがたがられるクロダイも
どうもそのライン上のお魚らしいのである。

戦前はクロダイも割と簡単に釣れたらしいのだが
その頃の軍港での話。
軍艦が港に入って沖に停泊していた。
狭い船に沢山の人。
トイレタイムは一斉に出来ないので兵隊さん達は甲板からお尻を海に突き出して一斉に用を足していた。
その頃の食事は豆や芋などが主食でガスが混じり排泄物は海にプカプカと浮かんで満潮時には一斉に陸に向かって寄ってくる。

ややや、それを池の鯉よろしくパクパクと食っている魚が居る。
それがクロダイ様だったのだが、クロダイは群れをなしてパクパクやっていたと言う。
クロダイは順応性があり、その場にあるものを常食するので、かの地のクロダイは毎日その美味しいものを食べていたのであろう。

その光景を見た彼は一生クロダイを釣らなかったという。

現在、クロダイがありがたい魚であることは間違いないので、釣ってる人に「汚い魚釣ってる」などとからかわない様に。
クロダイ師は皆気が強いのでボコボコにされても知りませんよ。



日本でもトイレを川の上に造り、魚を餌付けしておいて
必要な時に獲って食べる話を聞いたことがある。
本来人間の生活はそんなものかもしれない。
素晴らしい究極のリサイクルで崇高な話だったのか。

by 遊外部長