ヘリアンフォラ


食虫植物 ヘリアンフォラ 英語名sunpitcher(太陽の壷)はギアナ高地だけに生息しています。


ヘリアンフォラはこの壷に虫が入るのをひたすら待ちつづけます。


壷のように見えますがこれは1枚の葉が丸まったもので、大きさは20cm程。


葉の先端にある蜜線。ここから虫に魅力的な匂いと蜜を出します。


壷の表面の毛はすべて壷の底に向かって生えています。一度捕らえた虫を逃す事の無いためです。


ヘリアンフォラの花。
虫を誘う蜜を出します。


右下の突起が蜜線。この蜜には覚醒作用があり、なめた虫を酔わせてしまいます。
神経が麻痺した後も、虫は次の蜜を欲しくなり酔った足取りで次の蜜線をめざします。


スジバネクワガタの足取りはすでにおかしくなっています。


蜜線にもう一度フラフラといってみたが。


終に壷をスベッテしまって奈落の底へ。


そして・・・
スジバネクワガタはヘリアンフォラの養分となります。
壷の中には強い酸性の液が入っており、その強さは最高で人間の胃液と同等の強さ。
助かる事もありそうですが、酔ってしまっているのと壷の表面の下向きに生えた毛。そして強い酸性溶液。
助かるのは難しそうです。


もがき苦しむスジバネクワガタですが、およそ1週間で消化されます。
キチン質と呼ばれる殻は消化されずに残ります。


クワガタの左右に見えるものは、驚く事に蚊の幼虫ボウフラです。蚊もこの過酷な環境を生き抜くために、この強力な酸に耐性を持つようになりました。もちろん成虫は生きられませんがボウフラはヘリアンフォラの中で卵からかえり成長していきます。そして飛び立っていくのですが、成虫には最後にはヘリアンフォラの養分となる運命が待っているのです。


壷の張り合わせたような部分。ここは完全にくっついている訳ではなく、ここから入ってきた雨水を流します。
そうしないと雨量の多いこの土地では、酸も弱まりせっかくの栄養分も流されてしまいます。


折れ曲がった部分の上部から雨水を排出します。液の入った壷の底は折れた部分の下にあり、雨水は壷の溶液の上を流れて排出されます。

写真と文章はTBSテレビ テレビマンユニオン製作の「神々の詩」の内容を使わせて頂いています。