ツメタガイの正体


アサリやバカガイの天敵ツメタガイとはどんな奴なのか調べてみました。
 
クリックで拡大表示します。拡大して面を良く覚えておいて下さい。

アクキガイ科の巻貝達の多くは肉食性で他の貝の殻に穴を開け中の柔らかい部分を口を伸ばして食します。ツメタガイはタマガイ科ですが食べ方は同じです。

硬い殻に何故穴が開けられるのか
足の一部から酸性の液を分泌し相手の殻に塗りつける。
これにより殻の成分、炭酸カルシウムを分解。柔らかくしてしまう。

その後、特殊な舌の上に並んだ歯によって丸ヤスリの様に前後に動かして穴を開けていきます。

穴あけの速度はどの位?
ツメタガイは判りませんがヨーロッパチヂミボラという北部太西洋の沿岸に普通に見られる巻貝がヨーロッパイガイを食べる場合のスピードが出ていましたので、それによると24時間でたった0.36mmしか開けられないそうです。

ツメタガイも同等の速度と思われますのでこの速度ではハマグリなどの殻の厚い貝には苦戦しそうです。やはり、相手はバカガイが一番なのでしょう。

ツメタガイ(左)に襲われ筋肉質の斧足を長く伸ばして跳ね水管から水を噴射して逃れるバカガイ。
撮影は金沢八景海岸。写真は「貝のミラクル」奥谷喬司著(東海大学出版会1997)から。
(フォトショップで加工済)
鮮明な写真は本をどうぞ。

貝の何処を食べるのか?
足などの硬い部分は食べ残し柔らかい消化器部分などの軟体部を好んで食べます。

殻のどの部分に穴を開けるのか?
殻の薄い部分を選んで穴を開けるといわれます。
又、獲物が大きい場合他の貝が一生懸命穴を開け獲物の息が止まり貝の口が開いたところで横から自分の口を差し込んで獲物をちょうだいするチャッカリ物もいるそうです。

ウムム、貝の世界にも居たか・・・




巻貝は肉食が多いらしく以前、江の島でイワシの身を網に結んでカニ網を仕掛けて遊んでいた所、巻貝がイワシに寄って
網に沢山かかった事がある。

その時にそうか肉食なのかと判ったのですがちょうどバーベキューをしていて味噌汁に入れて食べてしまった。

その後、遭難者の遺体を引き上げると、バイ貝が沢山付いている話を読みギョッとした。


参考文献
基礎水産動物学 岩井保・林勇夫著(恒星社厚生閣1990)
貝のミラクル 奥谷喬司著(東海大学出版会1997)
貝のパラダイス 岩崎敬ニ著(東海大学出版会1999)
掲載引用につきまして許可を頂いております。


ツメタガイはこんな感じでビロビロを広げて干潟の砂に潜って悪さをしています。このビロビロも縮むと全部殻の中に入ってしまいコチコチになります。これが食べるとコリコリの食感の美味しい部分です。
このビロビロを見るとツメタガイを食べれなくなる人も多いのです。ビロビロ、コチコチ、コリコリの三段活用?


ツメタガイの広がった体から海水を放出させて、殻にしまってみました



ツメタガイの正体 2
ツメタガイに食べられた貝はどうなっているのでしょう。
簡単に調べてみました。

ツメタガイに丸く穴を開けられ食べられた小型のバカガイ。殻長3.8mm。

ツメタガイは殻の薄いところを経験的に知っていて薄い部分を集中的に狙うと言われています。
ツメタガイは本当にそんなに頭良いのでしょうか?
何せ、相手はバカガイ。もし頭が良かったらイチコロです。

穴はドリルで開けたのとは違い膨らんだ部分を上からヤスリをかけた様に開けていきます。

つまり、薄い部分を狙うというよりは一番膨らんだ部分を狙っているようです。

ツメタガイは粘液ネバネバの巨大カタツムリを思わせる
気持ちの悪い貝でこんなのにからまれたら最悪です。
バカガイ様。ご同情申し上げます。





バカガイの貝殻の様子です。
蝶番の上がプックリと膨らみこの部分が他と様子が違います。



前方下面から光線を当てて貝殻を透かして見ました。
左は普通の貝殻で右が穴が開けられたもの。
光線によりそのプックリの部分が光を透す。つまり薄いのがわかります。


そこで、ダイヤルゲージを使って実際に計ってみました。


調べて判った事は貝の周囲は思いの他厚く丈夫に出来ています。
しかし、膨らんだ部分。
つまり大きく膨らんだ中心部や蝶番の上の穴の開けられた小さく膨らんだ部分は
以外にも薄いという事が判りました。



つまり、ツメタガイは貝の攻撃しやすい膨らんだ部分を狙って又、上手い具合にその膨らんだ部分が薄いと言うことです。

丸い部分が薄いのはトンネルの構造と一緒で薄くても強度があり外部からの圧力に耐えられるという事では理にかなっていますが穴を開けに来る敵には無防備なわけです。

バカガイもやられっ放しでなく膨らんだ部分を強力補強した新種のバカガイの登場などが待たれますが相変わらずやられっ放しのバカガイでした。

頑張れバカガイ。




ツメタガイは殻長23mm程のこんな小さなアサリ(写真手前)にも穴を空けて食べています。
このような小さなアサリを手にかけるのは
恐らくツメタガイの方も小型の貝と思われます。

穴もスリバチ状に空いていますので

酸性の液を出す足も小さかったのでしょう。
下はツメタガイがバカガイに穴を空けようとして何らかの事情で果たせず途中でやめてしまった貝殻です。
海岸に打ちあがっていたもので2つのピンホールは砂と波でもまれているうちに空いたものです。



この穴を横から見ると完全に平らな状態でツメタガイは穴が空くまでは表面を平らに削っていく事が判ります。ひとたび中心部が空くとすり鉢上に穴を広げていきます。自分の口の入る大きな穴が出来たところでゆっくりと食事を始めるわけです。


中にはこんな見当違いの場所に穴を開けるツメタガイもいます。やっている内に気が付かなかったのでしょうかね?ご苦労様でした。


砂ぢゃわん駆除の巻


急激に横浜で増殖したとの噂のツメタガイ。そこで私は5月に砂ぢゃわんが多いので駆除に出かけました。2時間程、干潟を歩き回り駆除に成功。多分100個はいると思います。これが全部孵化してツメタちゃんになったら数万、数十万のツメタガイが誕生したわけで恐ろしい事です。ただ、砂ぢゃわんは水深のある所に多いので中々全部は獲りきれません。
でもとりあえずこれだけ捕まえましたので来年は少しはアサリが増えるかな?


カナダからの手紙

お客さんが拾って来た貝殻。
果たしてカナダもやられているのでしょうか?
Hummingbird International Hostel

撮影日付: 2005/06/11