三浦霊場満願所


三浦霊場満願所
四国八十八ヵ所のお遍路回りを生涯に一度はしたいと思っている人は多い筈。しかし実行するには時間的にも体力的にも高いハードルがある。すべてを徒歩でめぐれば順調に行っても一ヵ月半を要する上に、住職が不在だったりすると、お札を頂くまで思わぬ時間がかかる可能性もあるし、本人が疲れや病で寝込む可能性だってある。今でこそ携帯電話で救急車を呼べば何とかなるかも知れないが、かつては旅先のどこで倒れても良いようにと死装束で出かけたほどの難行である。
定年を過ぎれば時間は出来るのだが、体力は時とともに落ちていく。経済的なハードルも加わって、中々八十八全寺を回るのは大変な事が判ってくる。


その、八十八ヵ所めぐりが超短時間で出来てしまうのが、この三浦霊場満願所なのだ。四国八十八ヵ所の他に西国三十三ヵ所、坂東三十三ヵ所、秩父三十四ヵ所の日本百観音も加えて何と百八十八ヵ所を一度に回れる。納経こそ出来ないが、一枚ずつ写真に収めて納経の変わりにしよう。
三浦霊場満願所
三浦霊場満願所は県道26号線に面していて引橋の交差点から南へすぐの場所にある。三崎口からバスに乗ればバス停は引橋で、降りてから数秒の場所である。

三浦霊場満願所
三浦霊場満願所(左)
秩父 西国 坂東 四国 百八十八ヵ所観音霊場(右)
と記された三浦霊場満願所の門柱。門は閉じられているが左横観音像の先が開いていて自由に参拝できる。

三浦霊場満願所建立の趣旨

三浦霊場満願所
一、私の永年の悲願でありました 西国、坂東、秩父の百観世音菩薩と四国八十八ヵ所霊場巡礼満願の喜びを御信仰深い皆様と頒ち合い共々に永く記念致す可く、各寺院の御本尊の分身を勧進建立致しました。
二、此の霊場に安置致しました青銅製の龍雲山聖観世音菩薩像を万寿山弘法大師像の御胎内に、般若心経写経並びに私の生涯に互って恩恵を受けた御得意様、生産者、金融機関、各関係官庁等の方々、友人、知人、親戚並びに協力を頂いた社員の方々に心から感謝申し上げる為に、此等親しく御縁の深い皆様の御家族及び物故者と私共の家族物故者の御氏名と御法名を数百年の保存に耐え得る写経用紙に浄書連記して金属製のカプセルに封じ納め、永代皆様の御安泰を物故者の御冥福を祈願申し上げる事にいたしました。
三、現世相の人心荒廃を憂い信仰心に依って智徳仁信礼儀の昴揚を念じ、観世音大菩薩と弘法大師の妙智力の御加護を以って、願はくはこの功徳を以ってあまねく一切に及ぼし我等と衆生と皆共に佛道を成せんことを。
合掌
願文 人類の幸福と世界の平和
三浦霊場満願所皇室弥栄と日本の繁栄
三浦霊場満願所護国の英霊と祖先の菩提
三浦霊場満願所世界の母の願ひ交通安全
願主  杉山龍平
昭和五十二年秋


百八十八ヵ所巡礼満願の喜びを分ち合いたいとの思いで、この満願所を建立したということらしい。確かに普通の人には望んでも出来ないことなので、満願成就の喜びはひとしおであったと推測できる。信仰の力の大きさも理解できたので、心して小さな巡礼の旅に出かけ、満願成就の喜びを是非分けていただきたいと思う。

三浦霊場満願所
入口を裏側から見たところ。聖観世音菩薩と刻まれた石板と右手は四万部寺の御本尊 聖観世音菩薩。

三浦霊場満願所
秩父一番札所誦経山 妙音寺四万部寺
本尊 聖観世音菩薩

ありがたや 一巻ならぬ
法のはな数は四万部の
寺のいにしへ

秩父三十四ヵ所霊場回りの第一番目 四万部寺の本尊 聖観世音菩薩の御分身が大石板の横に鎮座していた。

同じものが巡礼路にもある。二体があるのはこの妙音寺四万部寺の御本尊 聖観世音菩薩だけである。百八十八観音巡礼のすべての御分身には御本尊と同じように、ご詠歌も添えられている。