海の公園に寄せて


東日本大震災



震災の一か月後の海の公園

 自分が生きているうちに、阪神淡路大震災だけではなく、こんな大地震に再び遭遇するとは夢にも思いませんでした。2011年3月11日、日本中が潮干狩りどころではなくなりましたが、次の干潮に海の公園に行ってみると潮が引く絶好の潮干狩り日なのに、人出は例年の5分の1程しかありません。それよりも驚いたのは砂浜が見た所50㎝程度全体に陥没しており、海はまったく潮が引いていなかった事です。近くの埋め立て地に建てられたマンションの駐車場が陥没したニュースが流れましたが、海の公園も埋め立てられた人工海浜なので、隣の野島海岸の陥没がさほど重大で無かった事に比べると、やはり埋め立て地は地震に弱かったという事です。


海岸の北側はアサリの減少が激しい

 これを境にアサリは少しずつ減少していった気がします。特に海岸北半分のアサリの減少は目を覆う程で、南側との差は年々開いていきました。海岸の南側が砂を入れたりして砂の高さが震災前に戻っているのに対し、北側は未だに震災前には戻っていません。幅1㎞程の海岸の南北で、アサリの量が天国と地獄ほど違うとは、すぐには信じられないでしょう。実際に南北両方でアサリを採った事のある人なら、すぐに判る事なのですが、海の公園で一番収容車両の多い柴口駐車場が北側にあるため、海岸の北側に入る潮干狩りのお客さんが多いのです。

 しかし、何度か北側に入ってひどい目にあった人達は、海の公園自体への足が遠のくためなのか、少しずつ潮干狩りをやる人が減ってきているようです。

 南側に入っている人達は、毎年それなりにアサリが採れるので、またシーズンが来れば海の公園に足が向くという事なのでしょう。




海の公園南側


同時刻の海の公園北側 こちらは人が殆ど見えない 南風で波も高い

 夏のある日、海岸の中央部から北と南を見てみると、潮干狩りをやっている風景がまったく違ったので写真を撮ってみました。南側はそれなりに潮干狩りをやっている人達がいて、海の公園らしいのですが、北側は子供が数人下を向いている位で、本格的に掘っている人はいないようです。南風の影響をもろに受けて波が立っています。こんな感じで2年続けて何も採れなかったら、もう海の公園には、しばらくは来てくれないでしょうね。

 南側に行ったらアサリはいるのに、やはり沢山の荷物をもって何百メートルも歩くのも大変なのでしょう。そもそも南側ではアサリが採れている事を知らない可能性もあります。こんな状況がずっと続いているので、海岸南にある磯浜駐車場の方は駐車台数が少ないこともあって休日にはすぐに埋まってしまうようになってしまいました。

 かつてのように海岸の北側でも沢山のアサリを採れる時代が来れば良いのですが、近年は南北で差は広がるばかりというのが現実なのです。


海の公園の北側はアサリの減り方が激しい 人もすっかり減ってしまった

 アサリの資源量は不安定でしたが、それでも少しずつ、あの楽しかった、かつての海の公園に戻ろうとしていました。

 2016年17年と不漁が続き、そろそろ周期的にアサリが戻って来るのではないかと期待された2018年、前年の大不漁をはるかに上回る、前代未聞の超絶不漁に見舞われ、海岸全体でアサリの姿が消えてしまいました。この年には南側でさえアサリは殆ど採れない状態でした。


アカニシは採れたんですけどね

 アサリはいなかったのですが、アサリの天敵であるアカニシは大発生し、沖のアマモの周りで採れ放題採れました。なにも採れないよりは良いのかも知れませんが、アサリがまったく採れないのは、やはり寂しい年でした。

 と思ったら2019年は、久しぶりの狂ったような豊漁に。この年は海岸の北側にもアサリが繁殖し、久しぶりに潮干狩り客を喜ばせました。しかしアサリが無くなるのも早く、夏に入るといつものように、海岸の南側の一部でしか採れなくなってしまいました。


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史上最強の潮干狩り超人