海の公園に寄せて


ルールを守って楽しく



2005年に立てられた潮干狩りに関するきまり

新しいルールでは
1 幅15㎝を超える貝採り器具の使用を禁止します。
2 殻の長さ2㎝以下のアサリの稚貝の採取を禁止します。
3 一人が一度に採る貝の量は2kg以内とします。

の3つが横浜市公園条例第6号第1項第8号で制定されました。なおこの看板は17年経った現在でも全く同じ文面デザインで使用されています。変わったことと言えば英文、中文の翻訳が加わっただけです。私の印象では韓国やベトナム人のお客さんも目に見えて増えているので、将来的には韓語、ベトナム語の表記も必要になるのかもしれません。

 十分優しい規制だと思うし今では当たり前の事なのですが、それでも条例制定直後は結構無法時代の名残で、明らかに大量のアサリを採ろうとする者や、2kgの規制逃れに木陰に巨大クーラーを隠して置き、2kg採るたびにクーラーに移して再び海に入る曲者など、またそれを密着でしつこく追いかけるテレビクルーなど、ゲームのような光景は、結構当時のワードショーやニュースを賑わしたものです。

 あれだけカメラに追いかけ回されると、別に生まれながらの悪人というわけでもないので、さすがに嫌気がさしたらしく巨大なカイマキは見る間に姿を消していきました。




仕事が終わり帰路につく監視員 海の公園2005年

 監視員も海岸を回って器具や採取量の違反を注意し続けた結果、だんだんと新条例は浸透していきます。お上がどうのこうのというよりは、同じ潮干狩りをしている者同士の目も一番の抑制になったと思われます。やはり誰にも分かるように、はっきり明文化して掲示する事は大切な事なのだと感じました。

 その内、今日は悪い人がいなかった、としょげているテレビクルーの姿を目撃し、消防士や警察が暇なら平和でニュースも無くなるのでしょうが、潮干狩り場も規則をやぶる人がいなくなれば、テレビの撮れ高にも直結するんだなと納得。良い人は救命救助でもしないとニュースにはならないもんね。

 アサリの大量採取対策の成果はすぐに現れ、2005年からはゴールデンウィークを過ぎてもアサリが採れるようになりました。梅雨が明けて強い太陽が照り付けてもアサリは採れ続き、海水浴だか潮干狩りだかわからない夏が続きます。

海の公園のピーク



最盛期には海も浜も人があふれていた

 海の公園で一番人が混みあうのは、毎年ゴールデンウィークが突出しています。特に潮が引いて天気も良ければ一日数万人でにぎわう横浜市自慢の海なのです。

 これまでで一番人出が多かったのは私の知る限り、2008年のゴールデンウィークでしょう。海岸の一番後ろの松の木立まで、びっしりサンシェードテントやシートが設置されて、砂浜が見えない景色はちょっと忘れられません。アサリもちゃんと採れるようになったので、帰る家族も少なく海岸が埋まってしまったのだろうと思われます。駐車場待ちの車列が海岸通りに延々と繋がっている様子は、各メディアでもゴールデンウィークの風物詩として、毎年報じられるようになりました。公式発表は分かりませんが、個人的には横浜スタジアムの収容人員、面積と比較計算して6万人はいたのではないかと思われます。この前後が海の公園の人出のピークだったと思います。


道路に駐車場待ちの車が延々と並んでいる 写真は止まっているが、実際の車も歩道側は止まっている

 今では駐車場の駐車台数とシーサイドラインの降車数の合計でかなり正確な来場者数が出せているようです。

 その時は私も、この潮干狩りの盛り上がりがずっと永遠に続くような気がしていたのです。そして、再び潮干狩りシーズンが始まろうとしていた2011年3月11日、東日本大震災が起こってしまいます。


53  54  55  56  57  58  59  60  61  次へ


史上最強の潮干狩り超人