50度洗いの真実


葉物野菜などを50度の温水に漬けるとしゃっきりして美味しくなるという50度洗い。以前話題になりましたね。
面倒なのでその後やってはいませんが、私もレタスなどを試してシャキッとするのは確認しています。

さてその後、魚介類にも応用できるという話でアサリにも使え、砂出しにも短時間で効果があるという話も出てきました。
正直、そんな訳は無いと思い気にもしていませんでした。でもやっぱり気にはなったんですね。実験をしてみることにしました。

スーパーで売っているアサリは砂出しが終わっていて、一応 「もう一回ご家庭で砂出しをして下さい」 と書いてはありますが、あれはクレーム対策で実際には砂は抜けています。
ですからスーパーのアサリを50度洗いしても砂出しに効果があるのかどうかは分かりません。

今回使うのは金沢海の公園で獲ってきたジャリジャリのアサリです。しかも砂の抜けにくい細かい泥の中に棲む硫化水素をたっぷり含んでいるヘドロアサリをと思いましたが、さすがに海の公園にはそんな場所はなく普通のアサリを使います。

比較のために通常の海の公園の海水で砂を抜いたアサリも用意します。
そして2つの方法の実際の調理は翌日となります。




まず鍋に50度の温水を用意します。

ちょうど50度の温水が用意できましたので昨日獲って冷蔵庫で保存していた砂出しをしていないアサリ100gを入れることにします。アサリは表面のザラザラの中に小さな砂が入っていることが多いので、丁寧すぎるくらい表面は洗っています。


投入後すぐにアサリの口は半開きになりました。完全に開けば死亡ですが半開きですので一応生きています。
潮干狩りの帰りに、アサリを海水と一緒にして車に入れておいたりすると、水温が上がってこんな状態になったりします。ただし写真はこの後すぐに調理する事前提ですので状況は違います。


3分後のアサリです。水温は43度まで下がりました。アサリの状態は特に最初と変化はありません。



6分後です。水温が42度に下がったくらいでアサリに変化はありません。これで砂が抜けてるんでしょうか?
5分位でアサリを上げるという話もあったんですが、何も起こっていないようなのでもう少し続けます。


9分後のアサリです。水温は41度に下がっただけで変化はありません。アサリは口を半開きのままウンともスンとも言いません。


12分後ですが水温が39度になりました。アサリが何かを吐いている様子もないし、どうしたアサリ。



15分経ちました。水温は38度になっています。しかし結局アサリに目に見えた変化はありませんでした。最初の一撃で口を半開きになったまま15分が経ちました。ここでアサリを鍋から上げます。


お皿に乗せると全員バカガイ状態で口を半開きにしています。気絶状態でしょうか。気絶とはいっても水温上昇にからきし弱いアサリを50度の、しかも真水につけたのですから再び生き返ることはありません。すぐに調理に入る必要があります。




後で作る海の公園の海水で普通に砂を抜いたアサリとの比較のために水の量も300㏄で揃えます。


300㏄の水に50度洗いを体験させたアサリを入れお味噌汁を作ります。

50度洗いの方が終わったら、すぐに海の公園の海水で砂を抜いた普通のアサリ100gを同じ300㏄で茹でます。
どちらも最後の一個が口を開いたらすぐに火を止め、いたずらに熱してアサリの身が硬く小さくならないようにします。



2種類のアサリの汁が出来ました。アサリの状態が観察できるように、お味噌はまだ入れておりません。50度洗いの方は15分間ぬるま湯につけていたのが効いたのか、身が少し崩れ始めています。


ここで初めてお味噌を入れます。今はどこでもこれが多いですね。九州のイオンでもこのお味噌が一番沢山並んでいました。



お味噌も塩味が変わらないように5gずつを加えます。


お味噌汁の完成です。

さて結果です。
審査は私と家内で行いました。

まず、砂ですが50度洗いの方は結構残っています。予想通り、潮干狩りのジャリジャリアサリの砂が50度の真水に漬けただけで、5分や10分で抜けるはずもありません。

そして味ですが50度洗いアサリの方は15分漬けておいたせいでしょうか、うまみ成分が全部抜けてアサリの搾りかすを噛んでいる感じ。漬けておく時間を5分にするとしても、砂が抜けていないのですから、これはどうしようもないですね。
アサリの味の違いについては個人差云々の段階ではなく、違う食べ物のように味が違います。1000人に調査しても50度洗いの方に軍配を上げる人は1人もいないはずです。

何か私はやり方を間違ったのでしょうか。私の実験の結果では50度洗いにメリットは一つもありませんでした。

アサリは獲った海岸の海水を持って帰って砂を抜くことを強くお勧めします。